曲名泥棒の自白
僕は小さい頃から音楽が好きだった。
見ているアニメや音楽番組から流れてくる曲のフレーズを、何度も何度も口ずさんだ。
中学生になってから詩を書き始めた。
とてもたくさん詩を書いた。僕はこれらを大人になってお金を貯めて、楽器を買ったら曲を作ってメロディに乗せてやろうと思っていた。
計画通り大人になって楽器を買ったが、好きな曲の真似をするばかりで、曲を作ることができなかった。
そうこうしているうちに僕の友達が「ちょっと貸してくれ」と言って楽器を借りたままどこか遠くへ行ってしまった。
僕は音楽ができなくなった。僕は悔しかった。その友達を殺したいとすら思っている。
だから僕は、自分が書いた詩に好きな曲名をつけてやった。
僕は曲名を盗んだ。
この世界にいる、音楽ができる人間全てが羨ましく、妬ましかった。
僕もそうなりたかった。
世界中の人間から妬まれる存在になりたかった。
いつか日の目を浴びて、僕の詩がごうごうと燃えるのを待っている。