6.天使落第 ~(5)
気がつくと、すぐ横に天使が来ていた。
スラっと背が高く、まるでファッションモデルのような女性の天使だ。
この老人の迎えの担当のようだ。
「わっ、びっくりした!」
パレルは思わず叫んだ。
「うるさいわね。いちいちびっくりしないでくれるかしら。いつものことでしょ」
天使はつっけんどんに答えた。
「やな感じ・・・・・」
天使に見下されたように言われたパレルは拗ねるようにぼやいた。
天使はみんなこんな感じだ。
これがまた美人だから始末が悪い。
「ああ、どうもご苦労様です」
ジャンクがその美人天使にデレデレと挨拶した。
ここで仕事は死神から天使へと引き継がれる。
天国まで導くのは天使の仕事だ。
「あとは私たち天使の仕事です。お任せ下さい」
天使がニコっとジャンクに微笑んだ。
「ああ、すいません。よろしくお願いします」
頭を下げながらジャンクの顔はイヤけていた。
美人の天使に腑抜けた態度になるジャンクを見てすかさずパレルは睨んだ。
男ってヤツは死んでからも美人に弱いらしい。
老人の体から透き通った老人が浮き出てきた。
これはプシュケーと呼ばれる幽体、いわゆる霊魂だ。
「さあ、参りましょう」
天使はやさしく老人の手を取った。
そして、ゆっくりと空へ昇っていく。