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4.天使落第 ~(3)

「お前、死神の仕事で一番大切なことは何だか分かるか?」


「分かってるよ。これから天国へと旅立つ人に『いい人生だった』って思いながら逝ってもらうことでしょ」


「そうだ。人が死ぬ時、直前に見る走馬灯のような景色、それを見せるのが我々死神の仕事だ。できるだけ楽しい思い出をたくさん集めてあげて、自分の人生がいい人生だったと思ってもらうんだ。俺たちの腕次第でその人が幸せな気持ちで天国へ旅立てるかどうかが決まるんだから、大切な仕事だぞ。天使にはできない仕事だ」


「ふーん・・・・・」


パレルは納得したようなしないような中途半端な返事をしながら顔を反対側に逸らした。


人には様々な人生があるが、最後は必ず死ぬ。

それは全ての人が同じだ。


しかし、幸福に包まれながら天に召される者もいれば、突然、死の恐怖や苦しみに怯えながら死んでいく者もいる。


それはその人自身は選ぶことができない。

それを決めていのは“運命”というルールだった。


その運命に従い、人を死に導くのが死神の役目だ。



「ここが今日の最初の仕事場だ」


二人が着いたのは田舎町にある小さな病院だ。


そのひとつの病室に一人の男性の老人がベッドに横たわっていた。

そのベッドの脇にはその老人の息子夫婦と孫の男の子が座っている。


「父さん! しっかり!」

老人の息子が声を掛けた。


「パレル、この人が今日の召喚者だ」


召喚者とはこれから天国へと旅立つ人のことだ。


「この人は早くに奥さんを亡くして男手ひとつでこの息子を育ててきたんだ。でも孫もいるし、まあまあ幸せな人生だったんじゃないかな」


その老人はもう意識が無いようだ。


「ジャンク。このおじいさん、もう死ぬの?」

「ああ、あともう少しだな。さあパレル、仕事だぞ」


「オッケー」


パレルはその老人のすぐ横について顔を近づけた。


そしてその老人の思い出(きおく)を読み取っていく。


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