3.天使落第 ~(2)
天使試験に落ちたパレルには、その白い制服はいっそう眩しく輝いて見えた。
「いいなあ、可愛いなあ・・・・・私も着たかったなあ・・・・・」
パレルは羨ましそうに彼女たちを見つめる。
「俺はイケ好かないな、あんなインテリな制服。言っとくが俺たち死神は決して天使より身分が低い訳じゃないんだぞ。死神としてのプライドを持て!」
「プライドよりデザイナーブランドがいいな。ねえ、ジャンクは死神になってどれくらいたつの?」
「ああ? うーん、よく覚えてねえけど二百五十年くらいかな・・・・・」
「天使になりたいと思ったことは無いの?」
「無いね! 俺はこの仕事は気に入ってんだ。まあ俺の成績じゃ元々天使になんてなれないけどな。それに、人気はないけど死神の仕事だってそんなに捨てたもんじゃないんだぞ」
死神の仕事は、死にゆく運命の人のところに出向き、人生の思い出を走馬灯のように見せることだ。そのあと、すみやかに召喚させる。
召喚とは人が天国に召されること、つまり肉体が死ぬことだ。
肉体が死んだあとに、その魂を現世から天国まで連れていくのは天使の仕事だった。
「今日もこれからまた死ぬ人のところに行くんでしょ。憂鬱だなあ・・・・・」