2.天使落第 ~(1)
「やっぱりやだな・・・・・死神なんて」
パレルは試験に落ちて以来、ずっと落ち込んでいた。
「パレル、そろそろ行くぞ」
声を掛けたのはジャンク。
ちょっとガラの悪そうなチンピラ風の死神で、彼女の教育担当役だ。
パレルはまだ死神研修中の見習いだ。だからこのジャンクから死神の指導を受けている。
この研修を終えることにより、晴れて一人前の死神となれるのだ。
「なんだ。お前まだ落ち込んでんのか?」
「だって私、死神なんかになりたくなかったもん」
パレルはぼやくように言った。
「大体なあに? このダッサイ黒服。童話に出てくる悪役の魔女みたい」
パレルは自分が着ている死神の制服が気に入らなかった。
先の曲がった三角帽にヨレヨレの真っ黒な服、数百年間変わっていないこの死神の制服は確かにダサく見えた。
「何言ってるんだ。これは我が死神族の由緒ある制服だぞ」
「こんな古臭いデザインの制服だから死神はいつまでたっても人気が無いんだよ。デザイナーブランドとかにしないと人が集まんないよ」
「でざいなブランコ? 何だ、それ?」
「ごめん。聞かなかったことにして・・・・・」
パレルは呆れたように唇を尖がらせた。
道の正面から純白に輝く衣を纏った少女たちがパレルたちに近づいてくる。
天使と天使試験に合格したその研修生たちだ。