17.陽だまりの中で ~(1)
春の暖かい日差しの中、色とりどりの花が庭一面に咲き乱れている。
その向こうには大きな洋風の屋敷があり、その横にあるウッドデッキにロッキングチェアに揺られながら一人のおばあさんがスヤスヤと眠っている。
とても気持ち良さそうだ。
編み物をしている途中だったのだろうか、その手には編み棒と毛糸を抱えていた。
「大おばあ様! 大おばあ様!」
五、六歳くらいだろうか、二人の女の子が家の中から出てくると、そのおばあさんにもたれかかって起こし始めた。
このおばあさんのひ孫のようだ。
二人ともそっくりな顔なので双子だろう。
「大おばあ様ってば! こんなとこで寝てたらお風邪ひいちゃうよお」
一人の子がそう言いながらおばあさんの体を揺する。
「あらあ、舞菜。来てたのかい?」
「大おばあ様、また間違えてる。私は雪菜よ」
「舞菜は私だよ」
もう一人の子がひょっこり顔を出す。
「ごめん、ごめん。二人とも可愛すぎてわからないよ」
「大おばあ様、とっても楽しそうに寝てたよ。なんかいい夢見てたの?」
「夢?そうか。今まで見てたのは夢だったのね。フフっ、死神になって生まれ変わるだなんて、なんて夢かしら」
「え?大おばあ様、死神になった夢を見たのお?」
舞菜が心配そうに訊いた。
「えー雪菜、怖いよお」
雪菜がおばあさんにしがみついた。
「ううん。全然怖くないのよ、死神さんは。おばあちゃんのお友達なの」
「お友達?」