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16.天使落第 ~(15)
「落ちこぼれの教育担当ですまなかったな」
「フフっ、けっこう楽しかったよ。ジャンクおかげで」
「もう時間だな。そろそろお別れだ、パレル」
「またいつか会おうね。絶対に」
「ハハ、そうだな・・・・・百年くらい未来でな。ヨボヨボのおばあちゃんになったお前を迎えに来てやる」
「うん、待ってるよ」
「ああ、もう車の前に飛び出すんじゃないぞ。あと、パパとママに親孝行しろよ」
ジャンクの声がだんだんと小さくなり、聞こえづらくなってくる。
残された時間はもう僅かだ。
「ありがとう! またね、ジャンク!」
パレルはめいっぱいに叫んだ。
「生きろパレル! 達者でな!」
ベビーベッドにいる赤ちゃんを父親がゆっくりと抱き上げる。
「結菜、パパだぞ!」
「結菜、ママよ!」
赤ちゃんを二人で強く抱きしめた。
「きゃっ、苦しいよパパ」
もちろん声にはならない。心の中での叫びだ。
「パパ、ママ、今度は絶対に親孝行するからね!」
その笑顔は、まさに天使だった。