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15.天使落第 ~(14)
「おめでとう、パレル」
「ありがとう、ジャンク」
「じゃあ俺はそろそろ行かなきゃ。元気でな、パレル」
「え? ジャンク、行っちゃうの?」
突然の別れの言葉にパレルは驚く。
「ああ、俺にはまだまだいっぱい仕事があるからな」
「ジャンク、また会えるよね?」
「死神に物騒なこと言うんじゃないよ。俺に会う時は死ぬ時だぞ。お前と次に会えるのは確か九十年以上先・・・・・おっといけない、これは本人には喋ってはいけない規則だった。まあいいか、この記憶はすぐに消えるだろうし」
「この私の記憶、消えちゃうの?」
「ああ、おそらくあと数分で死神だった時の記憶は全て消えるだろう」
「私、ジャンクのことも忘れちゃうの?」
「ああ」
「ジャンクも私のこと・・・・・忘れちゃう?」
パレルは悲しそうに俯いた。ジャンクも困ったように下を向いた。
「俺は忘れないよ、お前のこと」
「じゃあ私も忘れないよ! ジャンクのこと」
パレルは元気いっぱいに笑った。
その輝く笑顔と思わぬ言葉にジャンクは顔を横に逸らした。
目に潤んだものを隠すつもりだったのだろうが、その姿はパレルにはもう見えなかった。