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スポ根マンガを参考に球技を極めたら最強の武術だと勘違いされた!~魔球と必殺シュートでドラゴンや魔王もふっ飛ばす!~  作者: 空地 大乃
第2章 球技を扱う冒険者編

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第79話 ロードスの調査に向かう

 エルフの長老から話を聞きキングはロードスがそびえ立つという森の奥に向かうこととなった。


「長老もついてきてもらって悪いな」

「いくらボール様が一緒とは言え余所者と追放したバカモンだけに任せておけんからな」

「バカモンって誰のことよ」

「お前以外に誰がいるというのだ」


 ウィンと長老のにらみ合いが始まった。とは言え何だかんだウィンに構うあたり、長老も心からウィンと反発しあってるわけじゃないのではないかと考え始めていた。

 

「なぁ爺さん。その御神木にたどり着くまでに危険はないのかい?」


 周囲に目を光らせながらハスラーが問う。ここから先は彼らにとっても未知の領域だ。故に森を知り尽くしている長老から少しでも情報を聞き出したいところなのだろう。


「本来なら危険などありえんが――御神木であるロードス様が穢れた影響か、この森を見守っていた精霊が大分減っておる」


 質問に答える長老の顔は曇っていた。


「それは私にもなんとなくわかるわ。しかも代わりに嫌な気配で溢れている」

「そういえばまとわり付くような瘴気も感じられますね……」


 ウィンも精霊を扱うだけに周囲の変化に感づいていたようだ。アドレスも不安そうな顔を見せている。


「どうやら闇の精霊が取って代わり悪霊を呼び寄せているようじゃな」

「キュ~……」


 長老の呟きにボールが細い声を上げた。

 長老の行った通り、神の使徒であるならばボールも周囲の変化に気がついているのかもしれない。


「なぁその闇の精霊というのは一体何なんだ?」


 ハスラーが問いかけた。闇の精霊についての知識はないようだ。


「文字通り邪な力を宿した精霊のことだ。かつて魔王が世界を支配しようと目論んだ際に一緒に生み出されたとされておる」


 空を眺めどこか遠い目をしながら長老が語っていく。


「闇の精霊は混沌を生む。闇の精霊が生まれるだけで悪霊を呼び起こし、さらに本来は自然を守るはずの精霊さえも闇落ちさせる――その結果があれじゃ」


 長老が指さした方向を見ると、人のような形をした炎と小さな竜巻に目玉がついたような何かが近づいてきた。


「長老これが闇落ちした精霊なのか?」

「そうだ。どのような姿になるかは状況によってことなるが、とにかくあぁして具現化して周囲に危害を加えるようになる」


 長老の説明を聞きキングが真剣な目で問いかける。


「あれは倒していいものなのか?」

「寧ろ倒すべきだな。闇落ちした精霊は倒すことで解放される。そうでなければ闇に囚われたまま、だが簡単ではないぞ」


 顎をさすりながら長老が答えた。変わり果てたエルフとことなり闇落ちした精霊は倒すべき存在なようだ。


「望むところだ。ボール頼むぞ」

「キュ~!」


 キングの気持ちに答えるようにボールが球体に姿を変えた。しかも分裂し全員分の球を用意しそれぞれの手にわたっていく。


「な、なんとボール様が増えおった! しかしこれに何の意味が?」

「ボールはともだちだ。心を通わせることで俺たちはより強くなれる! 行くぞ皆!」

「任せて!」

「が、頑張ります!」

「よっしゃいっちょうやったろうか!」

「うぉおぉぉぉお!」


 そして開戦そうそうキングがボールを蹴り上げ一緒にジャンプした。


「て、使徒様を蹴ったーーーーーーーーーーー!」


 長老は目玉が飛び出さんばかりに驚いた。初めてキングの戦い方を見るだけに衝撃的だったことだろう。


「違うシュートはここからだ! 喰らえ! 王波宙転蹴弾(オーバーヘッドキック)!」


 更に空中で背面を見せるように回転しながらボールを思いっきり蹴りつける。


 勢いを増したボールはそのまま闇落ちした精霊の下へ飛んでいき地面に着弾。激しい轟音が響き渡り衝撃波によって精霊たちが消え去ったのだった。


「て、僕たちの出番ねぇし!」


 ハスラーが叫んだ。確かにキングと一緒に頑張ろうとした仲間たちの気合いは見事に空回りで終わった。


「す、済まない。強敵そうだったのでな。最初から飛ばしたほうがいいと思ったのだが」

「ま、まぁ仕方ないわね。キングだし」

「それにまだまだ先も長いですからね」

「ま、キングがバテたら僕たちの出番だな」

「いやいや、何をやらかしとるのだこの罰当たりがぁあああぁああ!」


 出番を取ってしまったかと肩を落とすキングを励ます三人だったが、そこに割り込んだのは長老の怒鳴り声なのであった――

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