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スポ根マンガを参考に球技を極めたら最強の武術だと勘違いされた!~魔球と必殺シュートでドラゴンや魔王もふっ飛ばす!~  作者: 空地 大乃
第2章 球技を扱う冒険者編

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第73話 見つけたエルフ

 キング達はウィンの故郷があるブローニュ大森林までやってきていた。しかしそこで木と同化したような姿に成り果てたエルフを見つけてしまう。


「まさかあんな姿になってるなんて……」

「そ、そのウィン。気を落とさないでください」


 ウィンが肩を落とし呻くように口にした。里から追放された身分とは言えやはり仲間の酷い有様を見て気が気じゃないのだろう。


 隣で聞いていたアドレスが何とかウィンを元気づけようとしている。


「ウィン。気休めになるかはわからないが、何か助ける方法があるかもしれない」

「キュピ~」


 キングが顎を押さえ一生懸命解決策がないか考えていた。肩の上でボールが体を捻るようにして一緒に悩んでくれている。


「そうだ、それこそアドレスの魔法で何とかならないのか?」

「それは……難しいですね。魔法と言っても万能ではありませんので未知の症状に効くような魔法は――」


 ハスラーに問われアドレスが申し訳無さそうに俯く。治療魔法とはいえどんな症状にも効果があるわけではないようだ。


「キュッキュ~!」

「おっと。ボールが二人に元気を出してと励ましてくれてるようだ」

「本当。ありがとうねボール」

「キュ~♪」


 ウィンがボールを撫でて少し笑顔が戻った。見ていた三人も安堵の表情を浮かべる。


「とにかく先ずはエルフの里に向かってみないか? もしかしたら何か知ってるかもしれない」

「そうね。このままクヨクヨしていても仕方ないし。とにかく動かないと!」


 ウィンが張り切って見せた。勿論心配はあるだろうが冒険者としてできるだけのことをしないと、という使命感に燃えてるのだろう。


「おっと調子が出てきたようだ。確かにそうだな。あの樹木エルフを何とかしないといけないだろうし」

「樹木エルフ?」


 ハスラーから飛び出た名称にアドレスが小首を傾げた。


「あぁなんとなくな。何か呼称があった方がいいだろう?」

「なるほど」


 確かにとキングがうなずく。こうして呼称も決まったところで改めて森を移動するキング達。すると途中でまたあの樹木と一体化したエルフを見つけた。


 だが、今回は他に本来の姿を維持しているエルフもいて、樹木エルフに取り囲まれていた。


「あれは確かクレチコとリリー! えっと後は――忘れたけど里のエルフよ!」

「五人中覚えてるの二人だけかよ」


 ウィンが思い出したように口にするとハスラーから突っ込みが入った。


「くそ! もう殺すしか無いのか!」

「仕方ない……このままというわけには――」

「そこのエルフ達伏せるんだ! 王波宙転蹴弾(オーバーヘッドキック)!」


 エルフ達が対処法について話し合っているところにキングの行動を促す声が響き渡る。


 エルフ達は条件反射的に伏せていた。空中から宙返りするようにして放たれたキングのシュートでサッカーボールが地面に直撃し同時に発生した衝撃波で樹木エルフ達が吹き飛ばされた。


「突然済まなかったな。もう立ち上がって大丈夫だ」

「えっと――」


 五人のエルフ達がゆっくりと立ち上がる。そして驚愕した。自分たちを過去でいた筈の樹木エルフが全ていなくなっていたからだ。


「まさかこれをあんたがやったのか?」

「あぁ。彼らには申し訳ないことをしたが威力は調整してある。飛ばされはしたがそこまでのダメージはないだろう」


 エルフの問いかけにキングが答えた。樹木エルフは今こそ正気を失っているが助からないと決めつけられないので、この場から遠ざけることだけを優先させた形だ。


「一体どうやって……」

「ふふん。これがキングの球技の力よ!」

「キュ~♪」


 ウィンがドヤ顔を見せ声を張り上げた。エルフ達の視線がウィンに向けられている。


「あれ? もしかしてウィンか?」

「そうよウィンだわ!」

「ウィンだ、と? 精霊を全く使いこなせず里から追放されたあのウィンか!」

「一体何しに来たんだ?」


 エルフ達はウィンに気が付き口々に久しぶりのウィンについて話しだす。


「突然悪いな。実は俺たちはウィンと一緒にエルフの里に行ければと思っていてな」

「俺達の里にだって?」

「あのウィンが人間を連れてきたのか?」

「馬鹿な。人間を里に入れるなど無理に決まってるだろう」


 エルフ達の言葉からは不穏な空気が滲んでいた。どうやら全員歓迎されて無さそうだ。


「ちょっと! キングは皆を助けてくれたのよ。それなのに態度酷いわね。恥を知りなさい!」

 

 叫ぶウィンをエルフ達は冷ややかな目で見ていた。どうやら予想以上に閉塞的な里のようである――

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