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第100話 素材が揃う時

 キングの必殺シュートを受け巨大モンスターは倒れ二度と動くことはなかった。ミスリル鉱山を荒らしていたモンスターはこれでほぼ片付いたことになる。


「やったねキング!」

「キュッ♪ キュ~♪」

「やっぱりあんたは決めるときは決めるな」


 ウィン、ボール、ハスラーに褒められて照れたように頬を掻くキング。そんなキングの側にアドレスが駆け寄った。


「怪我はありませんか?」

「あぁ、問題ない。心配してくれてありがとうな」

「回復するのも私の仕事ですから」


 そう言ってニコッと微笑むアドレス。そんなアドレスや皆の反応を見て仲間がいて良かったとキングも強く思うのであった。


「さて、これで鉱山は解放できたわけだが、ミスリルが無事か確認しないとな」

 

 キングが言った。なにせさっきまであの巨大モンスターがミスリル鉱石を食い漁っていたのである。鉱山は解放出来たとは言えミスリルの鉱床が無事かどうかは確認する必要があるだろう。


「それなら一旦戻って長老にも来てもらおうよ」


 そうウィンが提案した。確かにミスリルの扱いはエルフたちの方が専門だ。残った鉱床が使い物になるかも長老含めたエルフたちに検証して貰う必要があるだろう。


「そうだな。ついでに残ったモンスターも倒しながら出口に向かうか」


 そしてキングたちは鉱山に残ったモンスターを殲滅しながら出口まで戻った。そして長老に事情を説明したわけだが。


「こんなに早く解決するとは。流石魔王を退けただけあるものよ」


 長老も既にキングたちの実力は認めているようだった。最初の頃に比べると態度も大分軟化している。


「鉱山から嫌な気配も消えてますね。森も安全を保たれておりますし、これであればきっと貴方たちの求めている素材も集まるでしょう」


 ロードスからのお墨付きももらい笑顔になるキングたち。その後は長老もミスリルに詳しいエルフたちを集め一緒に鉱山を確認して回った。


「傷ついた鉱床も多いですが致命傷とまではいかないでしょうね」

「これならすぐにでも採掘は再開出来るだろう」


 一旦鉱山から戻ってきた後エルフたちが見解を示した。これに喜ぶ一行だが。


「その、私たちが持っていける分のミスリルはあるかな?」

 

 ウィンが問いかける。肝心のミスリルが手に入るか気がかりなのだろう。


「フンッ。何を馬鹿なことを」

「な! 何よ長老! まだ認めないとでも言うつもりなの!」


 長老の反応にウィンは眉を怒らせた。だが長老はウィンを落ち着かせるように右手を広げた。


「勘違いするな。寧ろ逆だ。ここまでしてもらっておいてミスリルを用意しないわけがないだろう。当然最上級のミスリル鉱石を用意するつもりだ」


 長老の答えに皆が顔を合わせた。そして頷き合いキングが代表して口を開いた。


「それはありがたい話だ。だけど無理はしないで欲しい」

「その心配は不要ですよ。鉱床が一部傷ついたとは言え皆さんに渡したところで余りある程は残ります。それに傷ついた鉱床も自然と治っていきますからね」

「幸い我々は時間には頓着がないからな。ゆっくりと回復を待つさ」


 そう言って笑い合うエルフたち。そして彼らがキングたちに感謝していることも伝わってきた。


「ではお言葉に甘えさせてもらおう」

「うん。これでミスリルは問題なさそうね。後は木材かぁ」

「それは私たちに任せて。最高の木材を用意させてもらうわ!」


 そう答えたのはエルフの女性たちだった。自然の中に存在する素材に関しては彼女たちの方が専門らしい。


「うん。それなら私も手伝うね」

「私も出来ることがあれば」

「では我々は採掘を手伝おうとしよう」

「いやしかしそこまでお世話になるわけには」

「気にするなって。それにただ待ってるだけというのも退屈だからな」

「キュ~♪」

 

 ハスラーが二カッと笑って返しボールも任せてと言わんばかりにポンポンっと飛び跳ねた。こうして一行は遂に理想の素材を手に入れることになったのである――

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