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第97話 時には休憩も大事

 キングたちは度々現れるモンスターを蹴散らしながら鉱山の奥へと足を進めていった。事前に聞いていた話ではミスリルは鉱山の三層目付近から採取できるらしい。


 そして現在位置は二層目の中間あたりといったところだ。


「進むごとにモンスターと出くわす頻度も上がってきたな」


 ハスラーが周囲を警戒しながら呟く。キングはある程度余裕がありそうだがウィンは肩で息をし始めていて流石にバテ気味であり、アドレスは慣れない鉱山での移動と戦闘によって疲労が見え始めていた。


「疲れが見えてきたな。少し休むとするか」

「だ、大丈夫だよキングこれぐらい」

「いやこういう時に無理をしては却ってペースダウンに繋がる。読んでいた書物(スポ根漫画)でも無茶がたたって肘を壊したり心臓が止まりそうになったなんてことがよくあったからな」

「いや心臓はこわすぎだろう!」


 何かを思い出すようにしてキングが語りハスターが突っ込んだ。確かにキングが読んでいた漫画にはそういうことが度々あった。勿論作中の主人公たちはたとえ肘が壊れてもこの一球にかける! 等熱いセリフを残し困難を乗り切った物だがキングとしてはそうなる前に対処しておいたほうがいいという柔軟な考えも併せ持っているのだ。


「今はしっかり休み英気を養うとしよう」

「キングがそう言うなら、そ、それに確かに結構キツかったのよね」

「本当は私もなんです」


 そう言ってウィンとアドレスが微笑みあった。そして持参していた水筒でそれぞれ水分を補給し村長がくれた食料で栄養を補給した。


「でもこのあたりってなんか蒸し暑いわよね」

「たしかにな。元からそうなのかな?」


 ウィンが汗を拭いながらつぶやくとハスラーも疑問げに返した。


「う~ん。私の知る限りここまで暑くなかった気もするんだけど」

「もしかしてこれも瘴気の影響なんでしょうか?」

「かもしれないな。この先何が起きるかわからないのだからより注意しないといけないな」

「キュ~!」


 キングの声に反応してボールもピョンピョンと跳ねた後、キョロキョロと周囲を見回した。スライムではあるがボールは頭が良く場の空気をよく理解している。同時にとても愛らしくもあり一生懸命なボールの姿がなんとなく微笑ましくもあるのである。


「ボールはいつも俺たちの為に働いてくれている。本当にありがとうな」

「キュ~♪」


 キングに撫でられ嬉しそうなボールであった。こうして和やかなムードで暫く休憩を取っていた一行であったが――


「……なんか臭うな」

「ムッ、す、すまない。つい――」


 ハスラーが鼻をひくつかせるとキングが照れくさそうに答えた。思わずずっこけそうになるハスラーであり。


「いやいやそうじゃないって! もっと別な臭いだ。しかも臭いが近づいてきているぜ」

「言われてみると、腐臭がするわね」

「こ、これってまさか!」


 ハッとした顔で立ち上がるアドレス。キングも表情を引き締めた。するとヒタヒタと近づいてくる足音。そして腐臭の正体が姿を見せた。


「こいつはアンデッドか」


 ハスラーがやってきたモンスターを睨めつけながら言った。やってきたのは全身の肉が崩れ骨も見え隠れしているようなヒトモドキの集団。中には骨だけの姿となったスケルトンも混じっていた。


「どうやら瘴気の影響で過去の犠牲者が蘇ったようだな」

「はぁ、大人しく休憩させてくれないものね」

「だ、大丈夫ですアンデッドなら私が。ボールお願い!」

「キュ~!」


 アドレスの声に反応しボールが分裂した。そして分裂したボールがそのままゴルフボールに変化しアドレスの足元に転がった。


「ホーリー・イン・ワンショット!」


 アドレスがボールを打つと光の帯を纏いながらアンデッドたち目掛け弾丸のように飛び出した。アドレスのショットによってアンデッドの体は貫かれ次々と倒れていった。


「やったわ! 流石アドレス!」

「いや待て! まだ起き上がってくるぞ!」


 感嘆するウィンだったがハスラーが注意を呼びかけた。するとアドレスのショットを受けたアンデッドが再び起き上がり一向に襲いかかってきた――

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