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一緒に並んで歩く。二人で外を歩く。
「それは素敵ですね。では、必ずそれをあたしが叶えますから、期待していてくださいね。ちょうど今は三月です。あなたが言うことを、今年で全て叶えられるではありませんか」
叶えてくれるとは、何を言っているのだろう。
今年で全て叶えられるとは、君は何を言っているの?
君の瞳が本気だから、笑い飛ばせない、聞き返せない。
何をどうするつもりなのだろうか。
考えがあるのには違いないのだろうけれど、どうするつもりなのか僕には見当も付かない。
どうして君は自信満々に笑えるのか。
「連れ出してくれますか? 一年間、僕と一緒に逃亡生活を続けてくれるのですか?」
「そのつもりです。逃げ出しましょう。あなたが行きたい場所、あなたもあたしも行ったことがない場所、走り回りましょう。一年間ずっと、そうしたらきっと楽しいに決まっていますものね」
「僕も君も行ったことがない場所……ですか」
大人しく少しでも永らえようと生きるのも構わないけれど、それでも僕は多少は命が短くなったところで好きなことをした方がいい。
君だって同じ考えを持ってくれているのだろう。