26
答えに惑った僕は、探した挙句に小さく望んだ。
「死んでなくなってしまう夢を、時々僕は見せられます。それでも夢の中でさえ、一度だって死後の世界を見たことがないのです。只管にそれで死が怖くなっていきます。君の温もりでどうにか僕を救えはしませんか?」
君は手を取ってくれる。そう思った。
君は手の甲に口付けをして、淡い微笑を向けてくれる。そう思った。
その、とおりだった……。
夢で見たように進んでいく。
君は僕の手を取って、その手の甲に口付けをして、僕に淡い微笑を向けてくれた。
それは僕には幸せで、適わなくて、夢で見た光景と重なりすぎた。
ぴったり重なってしまっていたのだ。
ずっと見せられていた、ずっと恐れていた、望んでもいない未来の夢が、現実に重なってしまっているのだ。
この後、これがまた夢であってくれたなら、僕はすぐに目が覚める。
何度も見た夢、見慣れた夢。
見た時点で、夢だとわかるほどに何度も何度も見せられた夢。
それなりに毎度それが怖いのは、目が覚めないかもしれない、今日はもしかしたら夢の続きがあるのかもしれないと、そう思うから。
怖い。怖い。怖い。怖い。死ぬのは、怖いよ。
「そこから、どうするのですか?」
目が覚めないものだから、どうなるのか気になったままに聞いていた。
気が付くと、僕は君を抱き締めていた。
君は僕の胸に擦り寄って、背中に僕の手を乗せてくれたのだ。
「好きな人に抱き締められるって、こんなに幸せなのですね」
僕を見上げて君は微笑んだ。
その頬は濡れていた。
ああ。もう僕には何もできないのか。
君と同じ景色を見ていることさえ――