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第七話「僕と彼女と」

僕とゼロも更新していきます。

 僕がトイレから戻ってくるとさっきまで居た大きな鷲は何処かへ飛んで行ったのか居なくなっており守さんも席を外したのか帰ったのか分からないが見当たらず、不機嫌な顔をした女の子だけが僕がスッキリした顔で歩いてくるのをじっと見つめ続けていた。


「遅い、あなたそんなに調子悪いなら初めから言いなさいよね? 無理やり連れてきた私が悪者みたいじゃないの」


 女の子は片方の手を腰に当てつつもう片方の手で僕を指さしながら注意してくる。おそらくだけど僕の体調を理由にここに連れてくるのを延期するとかそういうのをこの娘が判断するとはまだ会って数時間の僕からみても到底思えなかったがあえてそれを口にして火種にする気は僕には無く。適当に相槌を打ってごまかしつつとりあえずもう十分日が暮れたはず、そろそろ家に帰らないと親が心配する時間だ。


「あのさ、もう大分日も暮れたし家に帰りたいんだけど・・・・・・」


 僕がそういうと女の子はまだ文句を言い足りないのか憮然とした態度でスカートを翻しこの部屋にくる時に通った通路へと歩き出した。


「ほら帰るわよ。 お漏らし君」

「だからそのお漏らし君って呼び方止めてくれよ!」


 彼女の後を追いつつ僕は抗議するが全く聞く耳を持たずスタスタと歩き続ける女の子。なんだか言われっぱなしっていうのも釈然としないなぁ・・・・・・。


「ひとまず、今日ここで聞いたことは他言無用よ? まあ話したところで誰も信じちゃくれないでしょうけどね。 それと貴方がそのオブジェクトを使って力を使う気が無い場合は適当にゴミ箱にでも捨てなさい。 そうすればそれはただの石っころのままの状態になるから」


 こちらを見ようともしないまま淡々とした口調で説明をする女の子。こうしてみるとやっぱり顔もスタイルも整っていて冴えない僕が隣を歩いていい人間ではないことを再認識する。


「ちょっと聞いてるの? これはあなたにとって大事な事なのよ、もし力を行使できるようになったとしたら貴方は今日あった人たち以外と遭遇した場合命のやり取りをすることになるのよ?」


 今なんて言った? 命のやり取りだって?


「ちょ、ちょっと待ってよ。 命のやり取りってどういうこと? 殺し合うってこと?」


 突然の話に立ち止まり声を荒げる僕を鬱陶しそうに睨みながら女の子も振り返り告げる。


「そ、殺し合いよ。 オブジェクトに力を授けられた者同士殺し合うの。 最後の一人に残った勝者がゼロから何でも一つ願いをかなえてくれるっていう報酬を目指してね」

「そ、そんななんでもなんて・・・・・・」

「出来るはずないって思う? 現にみたでしょ? 守さんの鎧を」


 言われてさっき見せられた守さんの鎧は粒子になって消える時手に持っていたオブジェクトに収納されるかのように粒子になって吸い込まれていた。


「じゃあ、本当に? なんでも・・・・・・?」

「ええ。ゼロがちゃんと約束を守るならね」


 てことは、僕がその殺し合いを勝ち残って願い事は何?と聞かれた時にゼロに元気な声でこう言ったとしても叶えてくれるってことだよね・・・・・・?


『ゼロとスケベな事をしたいです!』


 素晴らしいありがとうゼロ。


「なに気持ち悪い笑顔浮かべてるの?」


 女の子から蔑みの視線を浴びながら僕は我に返り冷静に考える。 殺し合いに参加するってことは誰を殺さなきゃいけないってことだよね? でも僕はまだなんの能力もオブジェクトから貰ってない。 仮にそれを貰ったとしてそれが有能なものなのかどうかは貰ってみないと分からない勝ち残るために確実な方法をとっていくしかない。 そうゼロとスケベな事をするために!


「いや、別にただ参加はするけど君のサポートに回らせて欲しいなって思ってさ」

「まだオブジェクトから能力貰っていないのに? サポートってどういうこと?」


 怪訝な顔を浮かべる女の子に僕はとびっきりの愛想笑いを浮かべながら答える。


「たぶん、僕はどんな能力に目覚めたとしてもうまく上手く使いこなせないまま殺されて死んでしまうのが目に見えてる。 けど、キミみたいな強くてカッコよくてそれでいて可愛い女の子が戦ってもし殺されたりなんかしたら僕は悲しい。 せめて君の身代わりくらいにはなれるかなって」

「!? 強くてカッコよくて・・・・・・か、可愛いですって・・・・・・」


 女の子は顔を真っ赤にして視線を泳がせる。


「で・・・・・・でも、それじゃ勝ち残ったとしてもあなたの望みは叶わない。 私の望みが叶ってしまうのよ? それでいいの?」

「構わないよ、最後の最後まで君の傍に居られるなら」


 女の子は俯いて耳まで真っ赤にして頭を乱暴に掻き乱し問い詰めてくる。


「そこまで私と一緒に居たい理由ってなに? まだ数時間しかまとも会ってないのよ?」

「君に一目惚れしたから」


 僕はここぞとばかりに女の子の目をじっと見つめて出来る限り真剣な眼差しを送る。

 すると、女の子はビクッと身体を一瞬強張らせてから見返してくる。


「ひ、一目惚れねえ・・・・・・へえ私に惚れちゃったんだ。 へえ」


 動揺しているのか声がひっくり返っておかしな発音になっているが笑うのを堪えじっと見つめる。


「わかったわ。 それじゃあなたが私のサポートをしてくれるっていうなら私は全力で勝ちに行くわ。 あなたは私のかっこいい姿を見て惚れ直してるといいわ」


 女の子は顔を真っ赤にしたまま腕組みしつつドヤ顔を浮かべて宣言する。チョロいなこの娘。


「私の名前は、冴島さえじま 法子ほうこ よろしく。 今更だけど名前言ってなかったわね」

「よろしく」


 そうして僕らは握手を交わし、共に戦うコンビを結成したのだった。

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