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第二十三話「共闘」

 甲冑とリザードマンと法子さんの三つ巴の戦いはリザードマンがやや有利に見えた。 少しばかり大きな体躯を十二分に生かしたパワフルな立ち回りに尻尾を自分の手足のように自在に操り後方の敵を牽制。 対して甲冑は僕らと遭遇する前からここ一帯の参加者たちと戦闘を繰り返し、その上リザードマンともいくらか長い時間相手をしていたのが祟ったのか、肩で息をしている。

 そして法子さんは戦闘回数は少ないが、リザードマンの攻撃をまともに食らってふらつきながら立っている状態だった。 それでも法子さんから戦意が消える事はなく鋭い視線をリザードマンと甲冑に向けて剣を構える。


「負けない、私は負けられないのよ」


 法子さんは自分に言い聞かせるようにそういうと負傷しているのが信じられなくなるような速度で一気に二人に肉薄する。

 それを想定していたのか特に慌てた様子もなく尻尾で受け止めるリザードマンは自分の目の前にいる甲冑をどう倒そうか算段しているような顔でじっと甲冑の動きを観察しつつつば競り合いをしていた。


「尻尾くらい切り落としてやろうと思ったのに、鱗が硬くて斬れない……」


 リザードマンは法子さんを見ずに甲冑にだけ集中する気でいるらしく殆ど法子さんへは見向きもせず激しい攻防を繰り広げ出した。尻尾に荷重をかけていた法子さんはつんのめるようにたたらを踏むが持ちこたえ二人の戦闘にどう割り込むか考えているようだ。


「ていうかあとどれくらいの人数が残ってるんだろう……」


 僕は戦闘になると本当に役に立たないのでポケットからオブジェクトを取り出し残り生存者を確認すると表示が4になっていた。


「ん……4って事は、ここにいる僕らだけっ!?」


 いつの間にかまだ数十人いたはずの生存者がいきなりここにいる僕らだけになっていることに驚いたが、気になるのは誰がそこまで大量に倒したかということになるが。 あの甲冑とリザードマンの戦闘能力を見るとおそらくあの二人が遭遇する前に各所で戦って勝ち残ってきたのだろうと察しは着いた。


「そう。 あとは君たちだけよ」

「うわっ!?」

「やあひさしぶりだね、 どう? あともう少しで願いが叶うところまで来た感想は」


 なんの気配もなく僕のすぐ隣に現れたのはこの戦いを生み出した張本人、ゼロだった。


「まだ、分かんないよ。 僕以外みんな強いから」

「でも君はあの女の子を利用してここまで勝ち残ってきたじゃない。 それだって君の強さってことで良いと思うよ?」


 僕はゼロの慰めに片付かない顔をしつつゼロに目をやると、相変わらずの身体にぴったりフィットするライダースーツのような恰好をしており胸やお尻のラインがはっきり見えており、とてもスケベだった。


「ほら、流れが変わるよ」


 ゼロが三人の戦っている場所を指さすと、丁度法子さんがリザードマンの背後ではなく正面、つまり甲冑と同じポジションに回り構図的には二対一の位置になり甲冑と一緒にリザードマンに切りかかっていく。リザードマンは急に共闘をし出した事にリズムを崩され時折まともに二人の斬撃を受ける場面が増えた。

 例えば身体を捻って尻尾の薙ぎ払いで二人を吹き飛ばそうとすれば、膂力で勝っている甲冑が尻尾を全力で受け止め、その隙に法子さんが剣で確実にダメージを与えていくというような連係プレイを見せ始めリザードマンを追い込んでいく。


「法子さんが、甲冑と共闘しだした……」

「勝つためには手段を選ばない、ほら君と一緒じゃない?」

「確かにね」


 僕は苦笑いを浮かべて戦いの行く末を見守る。

あくまで予定ですが、次で終わります。

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