第二十話「知らないところで」
遅れましたすいません、更新です。
放課後、法子さんからメールが来て僕は再び法子さんと合流して今後の相談をしようという話になった。
だが、話を始めようとした時に黒服の人が息を切らして僕らの前に現れた。
どうやら、ゼロが一気に勝敗を決してまおうと各所で戦闘行為を行わせているようで手に負えない状態になっているらしい。
「ぜ、ゼロが!?」
一度しか会って居ないにも関わらず一目惚れしてしまったゼロのあのドスケベな女体を思い浮かべて思わず前かがみになってしまうのを見て法子さんが怪訝な顔をする。
「なにしてるの?」
「な、ナンデモナイヨ!?」
「まあいいわ、私たちも向かうわよ。 お祭り会場にね」
そう言って法子さんは黒服の人たちに車を用意する指示を出したがその後別の黒服が法子さんに耳打ちし、一瞬目を見開くがすぐに平静を装いすまし顔になった。
「どうかしたの?」
「鷲の子がやられたそうよ」
「鷲・・・・・・」
結局名前も聞けず、ろくに会話もしないまま僕の知らない所で倒されたようだ。 正直接点が無さ過ぎて寂しいとか悔しいとかそういった感情はさほど浮かんでは来なかった。
心の中であまり気持ちの入ってない黙祷を捧げていると車の用意が出来たようで法子さんと共に駆け出し車に飛び乗り現地へと向かう。
「君はとにかく私に敵の位置の情報を頂戴、片っ端から私が倒して進むから」
「うん。 勝とうね、法子さん」
「もちろんよ」
そこから会話は途切れ法子さんは手を開いたり閉じたりして集中力を高め、僕は今使える能力の再確認をしつつ今日の法子さんの下着の色を透視を使い確認することにした。
「・・・・・・赤か」
どうやら意図せずして情熱の赤のレース、まさにクライマックスにピッタリといった色を履いていた。
「僕が敵に捕まったりして人質にされたら構わず僕諸共殺してくれて構わない、法子さんの足をひっぱるような事はしたくないからさ」
僕は近づいてくる戦場を前に法子さんへ方針を伝えると納得していない顔をしながら口を開いた。
「何言ってるの、君は私の相棒なんだからちゃんと最後の最後まで付き合ってもらうわよ。 わ、私みたいな可愛い子と仲良くなりたいんでしょ? この戦いが終わったら――」
「ちょちょっと待った! それ以上はいけない!」
「?」
法子さんは困った顔をしている。 どうやら死亡フラグとかそういうのは分かっていないようだった。それにしても今の言葉を聞く限り最初の頃に比べて大分打ち解けていたがまさかこんな事を言い出すほどになっていたとは・・・・・・。 なんてチョロいんだろう・・・・・・あくまで僕がゼロに近づくために利用されているとも知らずに僕に微かな好意を持つまでになっていようとは、これは最後の二人になった時の交渉も容易く思い通りに出来そうだぞ?
「とにかく気を抜かず最後まで生き残ろうよて事を言いたかったんでしょ? 分かったよ法子さん」
僕は爽やかな笑顔を浮かべ法子さんに親指を立てた。
そして車は止まりドアを開け降りるとそこには崩れた外壁、大破した車、ありとあらゆる物が破壊され瓦礫が積み重なっていたりと酷い有り様だった。
「行くわよ」
「うん」
僕らは惨状を前に身を引き締め戦場を駆け出した。