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第十四話「親友と殺し合いとこれから」

今回も拓斗君視点です。

 河川敷からの俺んちに帰る道中色々と話を聞いた。サーシャの甲冑はサーシャの肉体をそっくり入れ替えて現れる物らしく、一度だけ相手に腕を切り落とされた事があるらしいのだが元の姿に戻れば腕は何事もなく生えていたそうだ。

 ただ心臓や頭を貫かれたりしても大丈夫かは分からないし試す気にもならないので急所への攻撃は回避するようにしているらしい。

 この平和な日本にこことは違う異世界からやって来て殺し合いに参加するやつらがいるようにここに住んでいる日本人の参加者も居るのだろう、サーシャはこの世界に来てこのふざけたゲームに参加してから数人殺したようだった。たぶん話を聞く限りこの間の街中の火事やら殺人やらで騒ぎになったのはサーシャが原因なんだろう。


「なあ、元居た世界でもサーシャは人殺しはしてたのか?」


 歩きながらサーシャの顔を見ないようにしながら俺は聞いた。


「ん。 そうしないとこっちが殺されるような場所だったから。 それに私自身がその辺の石ころみたいな物として扱われていたから命が惜しいとかそういう感情はあまりない、ただ今は願いを叶えるために死なないように戦っているだけ」


 サーシャはあまり感情を乗せないで身の上話を話してくれた。


「・・・・・・そうか」

「ん」


 短く返事をするサーシャの目には何が見えているんだろうか、最後まで生き残って願いを叶えた後の自分の姿だろうか? 横目で様子を伺いながら俺はこれからこいつをどう匿うか考えを巡らせたのだった。



 短い回想を経て俺は今の状況を整理する。

 まず今日はサーシャとカラオケに行く予定だったのだが突然血の匂いがすると言ってサーシャが駆け出してしまい必死になって追いかけていくと既に誰かが参加者と思しき人物を殺害しており周囲にはそいつのとりまきなのか家族なのかは分からないが何人か殺されていた。

 念のため甲冑を装備したサーシャが警戒するから何処かに隠れていろというから適当な家の物陰に隠れていたら後から別の参加者がやって来てサーシャがこれをやったと思ったのか問答無用で戦闘開始、数分後誰かが息を切らしながら走ってきたと思ったら親友の堂だったという最悪の事態になっている。


「ここで俺が出て行ったら俺まで狙われちまうかもしれないし、今日のここの殺人はサーシャじゃないけど他のところでは殺しちゃってるから人殺しはしていないなんていっても通じるかどうか・・・・・・ていうか堂がサーシャのあの姿を見た事があるような反応をしているってことは殺している現場に立ち会ってるかもしれないわけか。 猶更信じて貰えるわけがねえ・・・・・・どうするかな」


 この場をどう凌ぐか考えを巡らしてる間にもサーシャと剣を持った制服を着ている女の子、ていうかこの間堂を迎えに来ていた子じゃないか・・・・・・、堂とあの子は参加者なのか? 気になる事が増えてきたがもしそうだとしたら二対一では流石に不利だろうしホントどうしよう。


「ていうか私が切り落として上げたその腕、接着剤か何かでくっつけたの? それとも生えてきたの?」


 女の子が発した言葉に俺は耳を疑った。サーシャが前に切られたと言った相手がこの子だったのか!? ますます不味い、殺人鬼としか思われていないぞ絶対。


「あ、あの法子さん!」


 女の子の質問に答える素振りなぞ見せずに戦闘態勢のままにいるサーシャにイラついたのか再び切りかかろうとしているタイミングに後ろで様子を伺っていた堂が女の子に声をかける。


「何よ」


 集中を阻害され不機嫌な声で答える女の子・・・・・・法子さんはサーシャを注視しながら答える。


「そっちの家の陰にも誰かいるみたいなんだ! 僕みたいな足手まといが居て二対一じゃいくら法子さんでもキツイと思うんだ。 ここは一旦引かない?」


 堂は俺の隠れている建物に視線を向けながら法子さんに進言する。


「どういうこった? 俺の姿が建物越しに見えてるってのか!?」


 突然に居場所がバレて焦っても仕方がないので音を立てず、覗き込もうともせずじっとしてみる。数秒の間が空き気配が緩むのを感じた。


「そうね。あなたみたいなお漏らし君とそっちに隠れている助っ人さんでは明らかにこちらが不利だもの。良かったわね、今度会ったら首を落として上げようと思っていたけど延期よ」


 法子さんは堂を引き連れて帰っていったようだった。完全に静かになるとサイレンの音が近づいてきているのに気づきへたり込んでいた自分の足を叩いて気合を入れ直して立ち上がると丁度サーシャが甲冑から戻ってこちらに歩いてきた。


「たくと、具合悪いのか?」

「いや、そうじゃねえんだけどちょっと良くないことがあってさ。 とりあえずここを離れて落ち着ける場所に移動しよう。 それから話す」

「ん」

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