第十二話「よくある話」
放課後再び法子さんと合流した僕だったが、二日連続で法子さんに連絡が入りまたもや戦闘に参加することになっていた。
前回は人気の無い工場地帯だったが、今度は比較的人の多い街中でこの間僕が法子さんと初めて会った場所から数百メートル程度しか離れていない場所だった。隠れる所は沢山あるし、高低差もかなりある、こんな所で戦うとなったら僕は完全なお荷物になってしまう。それを危惧したのだが。
「良いから来なさい、あなたは私が守るから」
そう言って法子さんは辞退しようとする僕を強引に車に連れ込み現場へと向かったが既にこの間のように死人が出ており警官や野次馬と思しき人たちが犠牲になっていた。
「とりあえず私から離れないでねお漏らし君」
「だからその呼び方はやめてくれよ」
法子さんは相変わらず僕と初めて会った時の失禁した様子が忘れられないようでずっとお漏らし君としか呼んでくれない。そんなに失禁したのが印象深かったのだろうか・・・・・・? いやだってあんな死ぬかもしれない状態になったら漏らす人は僕以外にもきっといるとおもうんだけどな。
「黒スーツの人たちが根回ししてくれてる。 ひとまず辺りを探るわよ、付いてきて」
「了解」
僕らは死体が所々に横たわっていたり壁に寄りかかっていたりする住宅と会社が立ち並ぶエリアを隠れながら慎重にこの状況を作り出した犯人を捜す。
しばらく歩いていると、悲鳴が聞こえたのでそちらに向かってスカートを翻し塀に飛び乗り、そこから屋根に飛び移り駆け出していく法子さんだったが僕は追い付けるはずもないので出せる限りの速度でだいたいの方角に向かって路地を曲がったりしながら追いかけた。
何度か立ち止まったりはしたが金属音が響いてくるのを頼りにそちらに向かうとこの間の甲冑と法子さんが再び戦っていたのだが、僕はあることに気づいて戸惑う。
「あ、あいつ腕が治ってる!?」
そう、この間の戦闘で甲冑は法子さんに腕を切り落とされ撤退していったはずなのだ。 だが僕たちの目の前にいるそいつの腕はちゃんと身体に付いていた。
「やっと来たのねお漏らし君。 あなたもうちょっと身体鍛えときなさい、そんなんじゃ今後生き残れないわよ」
甲冑と相対しながらも気負った風でもなく僕の体たらくを窘めてくる法子さん。だがそれよりも気になるのはあいつの腕だ。
「ぼ、僕の事よりそいつの腕だよ! この間法子さんに切り落とされたはずなのに!」
「ええそうね。 確かに不思議よね・・・・・・回復能力持ちなのかそれとも協力者がいてそいつに治してもらったか。 まあ私が倒すからどうでもいいことだけどね」
そう言って法子さんは瞬時に間合いを詰めて甲冑に切りかかるが、前回よりも素人の僕からでも分かるほど甲冑の動きが滑らかで洗練されているように見えたと思ったのも束の間、反撃に転じた甲冑の斬撃に法子さんが体勢を崩しギリギリで躱すが制服の胸の辺りの布が千切れた。
「また制服注文しなきゃいけなくなったじゃないの。 ああめんどくさいったらありゃしない」
一旦後退し間合いを取る法子さんが愚痴る。 僕はもちろん敗れた制服から見える法子さんのお胸に全集中である。うん、やはりデカい。
戦闘を見守っていると、知っている声が聞こえてきてまさかと思い少しだけ顔を出して確認した時声を出さずに済んだのは我ながらグッジョブとしか言いようが無かった。
「なんで、なんでお前がいるんだよ・・・・・・堂」
俺、川島拓斗の親友である朴井 堂が殺し合いの只中にいたのだ。
タイトル通りよくある話です。 な、なんでお前がここに!?の後エンディングが流れて続く・・・・・・っていう演出? が好きです。