風邪を引いた夜
風邪を引いて学校を休んだ日の夜、隣同士の家の窓と窓に竹刀を渡して見舞いにやって来る幼馴染、といえば、できた幼馴染を持って羨望の的になりそうだけど、その幼馴染のせいで風邪を引いたとなれば僕が多少冷たくあしらったからといってどこからも文句は出ないだろう。
「風邪が移るから帰れよ。馬鹿は風邪引かないってのはあれ迷信で、あいてっ」
「なあに? 病人だっていうのに可愛げのない。いつも余計なことばっかり喋るんだから、病気のときくらいちょっとはしおらしくなったらどうなの?」
「こんな時間に自分ちに侵入されたら誰だって機嫌が悪くなると思う」
「お見舞いに行くのみんなに見られたら噂が立つって言うから夜来たんじゃないの」
説得を諦める代わりに、最後にこれだけは言っておいた。
「寝坊助のくせに。遅刻しても知らないよ」
「じゃあ明日はちゃんと起こしてよね」
そのまま僕の隣に倒れこんできたと思ったら、寝息を立てている。他の人だったら間違いなく狸寝入りだろうけど、彼女の場合、本当に眠ってしまったことも考えられる。
だけど僕には強いてそれを明らかにする理由はない。
ただ、いつもかけている目覚まし時計の時間を五分だけ遅らせて眠りについた、
三題メーカー(仮)https://shindanmaker.com/171355からのお題。『見舞う、夜、寝坊』。