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中村さんと朝倉くん③

「不思議なことがあるの」

 中村さんはいつもそう言って話し出す。彼女にとってこの世は不思議に満ちているらしい。

「バスは遅れるけど、電車は滅多に遅れないでしょう。なのにどうして交通機関は全部電車にならないの?」

 今日は少し遠出をして紅葉狩りに来たのだが、中村さんはさっき降りたバスの遅刻がまだ許せないようだった。

「道が線路になったら歩けなくなるからかな」

「路面電車みたいにするから大丈夫」

「道だって電車の大きさじゃ曲がれないし」

「大きさもトロッコくらいだから平気よ」

 トロッコというと原始的なイメージになってしまったのでカプセルのようなものに置き換えて近未来の町を想像してみる。

「もしそうなったら町中に小さな電車が走って、タクシーみたいになるのかな。そうすると駅が無くなって待ち合わせに困るかも」

 見上げると胸がすくような青空だった。電線だらけになるとこんな空も見えなくなってしまうかもしれない。

「そういえば、今朝は駅で待ち合わせをしたわね」

 中村さんが目を眇めた。目的地であるお寺の紅葉が迎えるように葉を見せていた。

「それは困るわ」

 中村さんが何に納得したのか、たまには僕が聞いてみるのも良いかもしれないと思った。

今回の不思議お題。

「どうして交通機関は全部電車にならないの?」

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