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高いところが好きだもの

「あの。どうしてタバコなんて吸ってるの?」

 湿った風が彼女の長い髪を払ってその口許を覗かせる。客観的に見ても美形の横顔に、くわえているタバコは悲しいほどに不釣り合いだった。もちろんこの学園は無法地帯ではないので、未成年の私たちは喫煙はおろかタバコの持ち込みすら禁止されている。

「そのタバコの煙を吸いに来てるお前に言われたくない」

「別にそういうわけじゃ」

「……あたしと喋ってもいいことなんてないのに」

 私は曖昧に笑った。彼女の自嘲癖には慣れている。

「合わないなと思ったからさ」

 直前の気弱な呟きなど無かったかのように、存外あっけらかんとして話す。

「そこから飛び降りる勇気が無いから、タバコでも吸ってガンにでもなればいいなと思って、何かの拍子に死ぬのを待ってる」

 彼女にそう思わせるほどの世界とは、いったいどれほど過酷なものなのだろうか。その資格が無いと知りながら、好奇心が疼くのを止められなかった。僅かに唇の端が震える。

「ところで、どうしていまさらそんなことを聞くんだよ」

「一回、言ってみたかったんだ」

 そう言ってはぐらかす。私と彼女がこうして話し始めて、まだ一月と経っていない。

 私の秘密を告白するにはまだ早い。

3題で小説書くったーhttps://shindanmaker.com/194081からのお題。『学園』『美形』『タバコ』。

ついでにお題ひねり出してみたhttps://shindanmaker.com/392860からのお題も。『一回、言ってみたかったんだ』。

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