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夜に捕まった男

 彼は肌の細胞が一つずつ死んでいくのを感じていた。既に爪も何枚か剥がれている。それでもその痛みを忘れることができない。痛みに耐えかねて叫び出す喉すら焼け始め、まともな声も出ない。人の形をした獣のように、手当たり次第に殴り、蹴り、噛みつき、それでも止まらない痛みのために自傷行為のようなことを続けていた。

 ついに眼球すら溶けてなくなりそうになったそのとき、闇雲に振り回していた彼の左手が彼を苦しめていた原因である硝子を砕き散らし、部屋に暗黒を取り戻した。彼自身も身に付けているものはすべて黒く、今にも闇に溶けてしまいそうだった。

 息を切らして消耗した体力を回復するため、壁にもたれて座り込む。そうしながら、つくづく悪運の強い奴だ、と自嘲気味に呟いた。反対に、年貢の納め時か、などと嘯くことも忘れない。

 しかし、のんびりと休んでいる暇もない。このまま何も対策を打たなければ、また阿鼻叫喚に陥れられてしまうだろうことは、日を見るより明らかだった。

「忌々しい……」

 舌打ちとともに吐き出した台詞は初めてのものではない。生まれてから今まで夜に捕まったままの男の視線は、その遥か上、ちょうど太陽のある方向に向けられていた。

クリエイターさんにお題ったーhttps://shindanmaker.com/657303からのお題。起【阿鼻叫喚】承【硝子】転【悪運】結【太陽】。


縛りプレイ小説お題ったーhttps://shindanmaker.com/467090からのお題。〔夜に捕まる〕です。〔モノローグ禁止〕かつ〔「黒」の描写必須〕。

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