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恋の科学とフェアリーテイル

 もしも天狗の鼻を千切ったらどうなるのだろうか。天狗の鼻を折る、ということであればまだ比喩表現として聞くこともある。けれどその鼻を千切ってしまうまでいくとどうなってしまうかはお伽噺でも聞いたことがない。

 そもそも、私がそんな荒唐無稽なことを考え始めたのは何も脈絡の無いことではなく、実際に必要に駆られてのことだ。少し科学が得意なだけの平凡な女子高生である私は、クラスメイトの男子に平凡に恋をしている。ところが私のような陰気で地味な女が普通に告白したところで成就するはずないし、そんな勇気もない。何かいい案はないかと町の図書館に役立ちそうな本を探しに行き、一冊の本を見つけた。触れれば崩れ落ちそうなぼろぼろの装丁で、背表紙に図書館のラベルもついてない、明らかに管理の外にある本。趣味の悪いオカルト本のような内容のそれの一ページに惚れ薬のレシピが書かれていた。材料は猪の毛とか海水二リットルとか、ほとんどが集められそうなものだったけれど唯一つだけ、天狗の鼻が必要だった。本当に私が平凡だったなら、ここで諦めるのだろうけど、幸運にもこの町には天狗がいるのだ。しかもその辺を歩いている。実現は不可能ではなかった。

妙なお題だけで三題話をしてみやがれったーhttps://shindanmaker.com/161245からのお題。「天狗の鼻を千切ったら」と「恋の科学」と「フェアリー」。

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