表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/42

だから君には手を振らない

 帰り支度をしていると、もらったファイルが破れてたことに気づく。いや、もらった後に先生と内容の確認をしたから、破れたのはその後になる。

 なるほど。実行委員が書類を傷つけたとなれば、信頼に関わるだろう。

 あの後は体育だったから、犯行時刻は限られる。犯人はおおよそ当たりがついていた。山里とは単に腐れ縁に過ぎないというのに、恋は盲目とはよく言ったものだ。

 おかげで私はいらない迷惑をかけられているのだから、あまりべたべたするなと言っても聞かないのだ、あの鈍感は。

「まだ残ってたんだ。もう帰ろうよ」

 こいつはどれだけ知っていて何を考えているのだろうか。

「うん。今、帰るところ」

 一瞬だけ、何故か不意に、全部言ってしまいたいような気持ちがした。

 私はお前のせいで面倒なことに巻き込まれているのよ、何とかしなさい、と。

 でも、そうすることでもっと面倒なことになりそうで。

 この心地好い距離感が無くなってしまう、ほとんど確信に近い想像が酷く嫌で。

 結局なにも言わなかった。

 明日の時間割のこと、今日出た数学の宿題のこと、そんな他愛ないいつもと代わり映えのしない話だけをして別れた。

 ただ、私の心臓の鼓動が少し、不協和音を奏で始めていた。

妙なお題だけで三題話をしてみやがれったーhttps://shindanmaker.com/161245からのお題。『「もらったファイルが破れてた」と「不協和音」と「腐れ縁」』。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ