八月の詩
海だ 雲だ 太陽だ
僕らの頭上に夏がきた
見なよあの雲 うんこみたい
見なよ太陽 まぶし目が
ちかちかする目に広がる青
見上げる先はどこまでも青
そして目の前に青
黄色い砂浜 青い海
水着姿の男と女
手を繋いで波間に消える
二人の絆は絡まるワカメよりも強い
昆布でもいい
いやここはひじきで
夏の浜辺クッキング
「わかめ酒」
材料:日本酒、妙齢の女性一人
なんだったら男でもいい
やれるものならやってみやがれ
水着姿の男と女
輝く太陽 入道雲
二人の笑顔は絶好調
他人の幸せ妬ましい
「クラゲミサイル発射準備! 目標男と女!」
「準備完了しました!」
「奴等に一泡吹かせてやれ。発射!」
「それでは発射します! 御武運を!」
「え? 俺?」
私はクラゲ 海の月
ゆらゆらゆらりと漂う月
夜空を見上げる海の月
今日のゲストはカツオノエボシ
「こんにちは、カツオノエボシさん」
「……」
「カツオノエボシさんのご趣味は?」
「……」
「カツオノエボシさんの好みのタイプは?」
「……」
「カツオノエボ痛ッ」
カツオノエボシは喋らない ただ刺すのみ
私はクラゲ 水の母
海をたゆたう水の母
父親はいない 別れた
「なんだよこの紙」
「……」
「離婚届? おい、どういう事だよ!」
「……」
「突然こんな物を取り出し痛ッ」
クラゲは喋らない ただ刺すのみ
夕日が染める空と海
男と女は肩寄せる
私はクラゲ 砂の上
打ち上げられて砂の上
後は水へと返るだけ
月が照らす空と海
誰もいない砂の上
私はクラゲ 海の月
溶けてなくなる 水の母