第七話
「うぅ…ここは?」
おれは薄暗い洞窟の中にいた。何故おれがここにいるのかまったくわからなかった。
「お!目が覚めたかアヴェン!ここは山の中間地点の洞窟だよ」
レッズがおれの近くで火を起こしていた。おそらくレッズがとってきたと思われる魚が焼かれていた。
「おれは何故ここで寝てたんだ?」
おれがレッズに問う。
「は?何言ってんだよ、お前はオレを助けたんじゃないか。憶えてねーのかよ」
こっちが、は?って言いたいんだけどなぁ…えーっと思い出せよ、おれ。たしかレッズと森の中を歩いてたら、いきなり狼たちが襲いかかってきて、そんで……その後からのことが全然思い出せない。一体おれは何をしてたんだろう…するとレッズが話しかけてきた。
「お前が金色に光ったと思ったら、狼たちを一掃しちまうんだもん、一体どんなことをしたんだ?」
金色?一掃?何がなんだかまったくわからない。どうやらおれが思い出せないことと関係してるっぽいな。
「あのさレッズ、悪いんだけどさ、おれそん時のことが思い出せなくて…」
「へっ??」
レッズが驚いている。
「まぁでも確かにそうかもな」
「はぁ?どーいうことだ?」
「だってあの時のアヴェン、なんかアヴェンじゃない感じだったから…」
おれの頭は爆発しそうだった。おれがおれじゃない?考えただけでさらに頭が爆発しそうだった。
「一体どーいうこと?」
「なんか冷たくて殺気立ってる感じだった」
ますますわかんなくなってきた。
「まぁ今日は頭のすみに置いとけよ、明日からまた頂上に行くからな」
「そーだな…この山を下りたらレガロさんに聞いてみよう」
そう言ってると香ばしい匂いがただよってきた。
「お、焼けたな!さぁ食うかな」
レッズが焼いていた魚をとった。
「ほら、レッズ食えよ」
レッズがおれにこんがり焼けた魚を渡してくれた。おれは魚に食らいつき、まだ焼いてある魚にも食らいついた。
「そーガツガツすんなよ」
レッズが笑いながら言う。おれは魚二匹をたいらげてちょっと満足感に浸っていた。
「じゃあオレはもう寝るからな」
「おぅ、おやすみ」
そう言ってレッズは眠りについた。おれは焚き火に木を足して、寝床についた。
次の日の朝、おれたちは頂上を目指してまた歩き始めた。