わるいこと。
私は気が立っていた。
「あなたは神を信じますか?」
「人は生まれながらにして・・・」
インチキもオカルトも大嫌い。
物心ついたときから私は普通の人とは違った。たとえば、普通の人には見えないものが見えてしまったり、ちょっとだけ、超能力みたいなものが使えたり。だから、インチキ超能力やインチキ霊能力者は嫌いなのだ。
私の能力に気づいた母は、幼い私をやれテレビだやれ雑誌だと引っ張りまわし、そこで出会った能力者たちが何の能力もない無能なインチキ野郎だと気づいてしまってから余計に。だから、インチキ超能力やインチキ霊能力者は嫌いなのだ。
「神は信じるものを救い、あ、ちょっとおねえさん!!」
「けっこうです」
私は目もあわせず拒否の意を伝えると歩くスピードをはやめ、交差点に突っ込む。これだけうじゃうじゃ人がいれば簡単にまけるだろう。
牛丼屋から出てきたわたしを追いかけずーっと神がどーのと説いてきた。
年頃の女ひとり、激安牛丼屋で昼食をとる私はそんなに神様を必要としているように見えたのだろうか。