チャプター5
遅くなってすみませんでした。忙しすぐてちょっと悪く書いてしまいました。
コナーは、恐怖と喉に詰まった悲鳴とともに意識を取り戻した。彼は熊のことを覚えていたし、ネーヴが木に激突したときに感じた恐怖と無力感もはっきり覚えていた。
だからこそ、彼が生きていて無事で目を覚ましたとき、最初にしたことは「これは夢なのかどうか」を確かめることだった。太ももを軽くつねると、夢ではないことが確認できた。次に、青髪の少年は小さな白い子犬を探した。探すのに時間はかからなかった。彼のすぐそばで、ネーヴはお腹を上に向けて無防備に眠っていた。
その光景を見て、コナーの胸に巻きついていた不安の結び目が少し緩んだ。
そして最後に、コナーは自分自身の体を確認した。驚くべきことに、自分を助けてくれた誰かが彼の傷の手当てもしてくれたらしい。上半身は丁寧に包帯で巻かれ、下半身も同じように処置されているのが感じ取れた。筋肉はこわばっていたが、動いても痛みはなかった。狂暴な動物に襲われた人間がこんなふうに痛みを感じないなんて、普通ではない。まるで一週間も眠っていたみたいだが…本当にそうだったのだろうか?
彼はどれくらい意識を失っていたのだろう? 一日? それとも数日? あるいはもっと長い間、何も考えずに眠っていたのかもしれない。その間に、誰かが彼を待ち続けていて、助けを望んでいたのかも。けれど、もう痕跡も消えて、あの悪党どもは何のお咎めもなく逃げ切ってしまったのではないか。もしそうなら——
その思考がさらに深く沈む前に、視界いっぱいに白い毛が飛び込んできた。ネーヴがコナーに飛びついてきたのだった。子犬は嬉しそうに彼の上で跳ねまわり、まるでキスをするかのように舐めまくっていた。それだけで、コナーは思わず笑ってしまった。
「ネーヴ!ネ、ネーヴ!やめて!」
「ワフ!」
ふかふかの毛皮のマットレスの上に倒れ込みながら、コナーの不安な思考は、ネーヴの猛攻によってどこかへ吹き飛ばされた。彼は自分がその攻撃を楽しんでいないと主張するが、犬の唾液まみれになることに楽しみなんてない…はずだ。
彼は過剰に元気な子犬を両手で持ち上げ、自分の顔から離した。標的を失ったネーヴは、一瞬だけ静止した。
「ストップ。」
ネーヴは首をかしげ、まるで困惑したかのように見せた。純真そのものといった顔で、コナーをじっと見つめている。
十二歳の少年は、呆れつつも微笑んだ。
「はいはい。」彼は認めて、ネーヴをぎゅっと抱きしめた。「ありがとう、ネーヴ。」
「ワフ!」
彼は笑顔を浮かべながら、ネーヴを胸の上にしっかりと抱えて持ち直した。関節が少しピリピリとする感覚はあったが、コナーはゆっくりと立ち上がった。子犬を揺らさないよう気をつけながら、軽く体を伸ばす。
さっき気づいたとおり、体に痛みは感じなかった。もちろん、長時間動かなかったせいで体は少しこわばっていたが、深刻なものではない。もしかして、これは魔法なのかもしれない。母がよく語ってくれた物語に出てくるような、そんな魔法。
もしそうなら、自分も学べるだろうか?
コナーが立ち上がると、ネーヴは興奮したように吠えた。子犬は彼の周りをぐるぐる回ったかと思うと、勢いよく洞窟の出口へと駆け出した。あっという間に、その小さな姿は外へ消えた。
「ちょ、ちょっと!待ってよ!!」コナーは叫び、慌ててその後を追いかけた。ネーヴが怪我でもしたら大変だ。彼が洞窟の外へ出ると、まぶしい太陽光が直撃し、一瞬目がくらんだ。
「うわっ…」コナーは目をこすり、何度も瞬きをした。やがて目が慣れてきて、ようやく自分の立っている場所が見えてきた。
そこは見知らぬ森の中の空き地で、木々が密集して立ち並び、その合間には巨大な氷柱のようなものがところどころに突き出ていた。ところどころに新雪が積もっているにもかかわらず、足元には新鮮な草がやさしく触れてくる。空き地の中央には、そこそこの幅の小川が流れていた。
コナーは、かつて自分が遊んでいた小川と同じものなのか、それともその源流が近いのかを考えた。
そのとき、どこかから叫び声と、うなり声や吠え声が聞こえてきた。コナーはそちらの方へ視線を向けた。
そして、その光景に言葉を失った。
そこには、銀色の鎧を身につけた人物が、大人の二倍はあろうかという巨大な黒狼と取っ組み合いをしていたのだ。
「ふっ…はっ!」
その周囲には大小さまざまな狼たちが群れを成しており、彼らの動きに合わせてうなり声や遠吠えを上げていた。