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七話

フランが下女として働きはじめて1か月が経った。

情報は今だにほとんど集まっていないが焦ってもいいことはない。

殺された高官の名前はグラン・フォン・マルケス侯爵。

犯人とされた自警組織自由の火の後ろ盾の1人だったらしい。

後ろ盾を殺す意味などない。

不信に思っている勢力もいるようだが捜査に進展はない。

それは犯人とされた自由の火の構成員達が異例とも言えるスピードで処刑されてしまったからだ。

多くの構成員が処刑された後もメンバーのあぶり出しや証拠探しを続けられ自由の火が犯人である証拠が次々と見つかったという。

そして、街の状況であるが自由の火が消えたことにより治安が悪化しているようだ。

衛兵達も必死に働いているが手が足りていない。

悪化する治安に街の人々は面と向かって言わないが貴族を悪し様に言う。

それを受けて衛兵達は猶更ピリピリしているようだ。

そんな中、フランは下女仲間と街を訪れていた。

普段は忙しく働く彼女達が街まで来たのは給料が入り数少ない休暇を満喫する為だ。

小物を扱うお店をいくつかまわり今は小洒落たカフェでお茶を楽しんでいる。

フラン達が着ている服は下女服だ。

休日に普段通りの下女服を着ているのは所属を明らかにする為である。

下女といえ、王宮に所属している女性であることには変わりない。

普通の人であればなるべく関わり合おうとはしないのだがそれが通用しない相手も存在する。

「おやおや、そこにいるのは端女達じゃないか」

その男が近づいてきた途端、下女達は警戒する。

男の正体はゲラン・フォン・グスタフ。

男爵家の跡取りで王宮に用もなくふらりと現れては王宮で働く女性達に手を出す要注意人物だ。

「まぁまぁ、そんなに警戒するな。私もお茶を飲みにきただけだ」

そう言って勝手に空いていた席に腰を下ろす。

相手は準貴族な為、下手な対応をすれば何を言ってくるかわからない。

「お前、見ない顔だな」

そう言ってフランの方を見てくる。

明らかに見下した態度でまるで道具扱いを受けているようだ。

実際、ゲランの中では下女達は自分の欲望を突きつける道具でしかない。

過去に何人の王宮の女性達が泣いてきたことか。

「フランと申します」

下卑た視線に耐えながらそれだけ絞り出すのが精いっぱいだ。

色々話しかけてくるが頭の理解が追い付かない。

ゲランはフランに夢中なようで隙を見て抜け出した下女がいることにも気が付かない。

ゲランは萎縮しているその様を見てにやにやといやらしい笑いを浮かべていた。

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