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六話

フランが下女として働きはじめて数日が経っていた。

今のところ先輩達について仕事をするだけで精一杯だ。

とてもじゃないが抜け出して証拠を探すなんて無理な状態だ。

最初の頃は、国賊の処刑の話もチラホラ聞こえたがそれもなくなり王宮は完全に平常運転へと戻っていた。

今は先輩数人と小部屋の掃除をしている。

小部屋と言っても王宮だけありフランの住んでいた家よりも広かったりするのだが・・・。

丁寧に埃を落とし床を磨き上げ絨毯も専用のブラシで毛を立てさせていく。

「フランは仕事を覚えるのも早いしいい子ね」

「そうね。私なんて怒られなくなるのに半年もかかったもの」

「変な虫がつかなければいいけれど・・・」

「リリーさんが早めに部屋の掃除に割り振ったのもわかるわ」

王宮の抱える女性は基本的に王様の所有物だ。

しかし、残念ながら貴族の中には遊び感覚で手を出す人物がいないわけではない。

身分の低い下女の立場では強引に迫られた場合逃げ出すのは難しい。

そこで活躍するのが王宮の女性達のコミュニティーだ。

女官、侍女、下女の身分の差なく不幸な女性を出さないために情報交換は頻繁に行われている。

今回、情報を発したのは侍女達のグループだ。

新しく入った下女を狙っている男性貴族がいることを一早く掴みリリーに警告を発していた。

リリーは即座に動き人の目のつきにくい部屋の掃除に割り振り、なおかつ絶対に1人にしないようにと指示を出していた。

フランの目的を考えればよろしくない状況だ。

しかし、ここで無理に1人になるのは今後のことを考えれば悪手だ。

先輩達も悪気があるわけではなく純粋に心配してくれているのだ。

それに焦らずこのまま部屋の掃除を続けていればチャンスはやってくるかもしれない。

目的の為に1歩1歩確実にいくべきだ。


フランが王宮で立場を固めてる頃、リオンは配下の衛兵を連れて街を巡回していた。

目的はフランを探すことだ。

信頼していた男からの最後の願い。

娘を頼むと言われたからだ。

だが、見つけてどうするというのか。

見つければ国賊の娘として処罰される。

それはわかっているが探さずにはいられなかった。

自由の火の件は多くの団員と頭目の処刑で1区切りついている。

今の王は、温厚なことで有名だ。

リオンは大きな手柄を立てたことはないが父の名を出せば減刑されるかもしれない。

とにかく今は頭目の娘であるフランを探し出す。

それしか考えていなかった。

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