十九話
「昼間はありがとうね」
ナナリーがそう言ってくる。
「いえ。同室の人がナナリーさんでほっとしました」
「私はドジだから今後も迷惑をかけると思うけど・・・」
「私こそ、迷惑をかけるかもしれません」
そう言って2人で見つめ合いどちらともなく笑いあう。
「フランちゃん。お風呂に行きましょうか」
「お風呂ですか?」
「うん。この時間なら沸いているはずだから」
「わかりました」
フランとナナリーは入浴の準備をしてお風呂に向かう。
これから毎日お風呂に入れるとなると改めて待遇の良さに感動を覚える。
フランが服を脱ぐとナナリーがじっとこちらを見ているのに気がついた。
「ちょっと痩せすぎね。ちゃんと食べてる?」
「ここにきてちょっとは改善されたんですけど・・・」
「そう・・・。せっかく可愛いんだからもったいないわ」
フランはそう言うナナリーの体を見てみる。
出るところは出ており引っ込むべきところは引っ込んでいる。
理想的な体型をしていた。
「ナナリーさんは素敵な体ですね」
「これでも維持には苦労してるのよ?」
「そうなんですか?」
「油断するとすぐにお肉がつくからね」
そう言って苦笑いをしている。
「さて。しっかり体を磨かないとね」
そう言ってナナリーはフランを引っ張って浴室に連れ込んだ。
「せっかくだし洗いっこしましょうか?」
「洗いっこですか?」
「えっえっ」
ナナリーはそう言ってフランの背中側にまわる。
そして石鹸をつけた手で優しく洗ってくる。
「どう?」
「気持ちいいです・・・」
「肌もちょっと荒れ気味ね。これは後で入念に手入れしないと」
ナナリーはそんなことを言っている。
市井では肌の手入れなんて考える余裕がなかった。
まるで別世界に迷いこんだみたいだ。
ナナリーは隅々まで洗うとお湯で泡を流してくる。
「次は私ね」
「はい・・・」
フランは自分がされたようにナナリーの体を丁寧に洗う。
ナナリーの肌は自分と違いきめ細かい綺麗な肌だった。
「ナナリーさんの肌って綺麗ですね」
「そう?ちゃんとお手入れすればフランちゃんも綺麗になるわよ」
「そうですかね・・・?」
「ふふ。若いんだから大丈夫よ」
そう言ってナナリーは言い切った。
「流しますね」
フランはナナリーの体を洗い終わりそう言ってからお湯をかける。
「さてと・・・。ゆっくりお湯を楽しみましょうか」
フランとナナリーはそう言って湯船に移動する。
じんわりと体が温まり疲れが解けていくようだった。
フランはぼんやりとした頭で考える。
侍女になり不安だったがナナリーという優しい先輩もできた。
これなら何とかやっていけそうだった。




