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国賊の娘 王宮に下女として潜り込む。  作者: 髙龍


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十話

衛兵の報告書のある部屋に忍び込んでからというものそこで出会った高貴な男性が度々仕事場に現れるようになった。

他の下女達も最初は恐縮していたのだが相手をしていては仕事が終わらない。

なので、普通に仕事をするようになっていた。

この男性が現れるようになってから嫌な目線を向けられることが少なくなったのが救いだろうか。

いるだけで害虫避けになるなんていったいどういう立場の人なのだろうか。

「お仕事はいいんですか?」

嫌味を込めてそう言ってみるもののまったく意に介していない。

「優秀な部下がいるからね」

「部下の方の苦労がしのばれますね」

「ほらほら、手が止まってるよ?」

「もう・・・。誰のせいだと思ってるんですか」

本来なら身分の差でこんな口を聞いたら怒られる場面だ。

だが、当人が気軽に接してくれと言うのでこんな状態になっている。

「それにしても君は随分と人気があるんだね」

「そうなんですか?」

他の人が通りかかったら相変わらず頭を下げているので自分ではわからない。

「あぁ。君を見ている官吏やら巡回の兵士はかなり多いよ。まぁ、私を見てぎょっとしているんだがね」

「まぁ、いやだ。驚く人を見て楽しむなんて悪趣味ですよ」

軽く口撃を入れてみる。

「おやおや、不機嫌だね。部下も可哀想だからそろそろ私はいくよ」

そう言って男性は去っていった。


数日後の休日。

リリーさんからようやっと許しを得て街に繰り出していた。

だが何故か、例の男性が着いてきていたが・・・。

「何で貴方がいるんですか」

「まぁまぁ、護衛だと思って諦めてよ」

街に出る許可が下りなかったのはゲランの1件があったからだ。

フランのことを思ってのことでありそれは仕方ない。

「はぁ・・・。絶対に邪魔しないでくださいね」

休日にリフレッシュする為に出てきたというのに何とも先行き不安だ。

だが、文句を言っているのはフランだけで他の下女達は気にしていないようだ。

わいわいいいながら小物店を覗いている。

フランもお店の中を見てまわり1本の髪紐を手にする。

青い色で所々キラキラと光っている。

「なんだ、それが気に入ったのか?」

「えぇ。でも、やめておきます」

王宮仕えの女性達は服飾規定が決まっている。

買っても普段は使えないのだ。

「ふむ。1人だけと言うのは不公平だな。他の者も欲しいものがあれば私が買ってやろう」

そう言って髪紐を持って会計を済ませてしまう。

「ほら、受け取れ」

「あ、ありがとうございます」

他の下女達もそれぞれ品を受け取り嬉しそうだった。

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