勇者が高校生と入れ替わったら 5
♢アニオタ勇者と元勇者の高校生
「それで、るみかさんと付き合いはうまくいっているの?」
今日は部屋でテレビ越しに連絡していた。
なんとゲームの国でもテレビがあってテレビと僕の部屋のテレビや勇者のもつスマホがつながることがわかったのだ。それは大変不思議なことだが、僕と勇者ミカゲが所有しているものであれば、話したいときにテレビ電話として使えるという法則のようだ。大変便利でありがたい法則があったものだ。
「付き合うってそもそもなんだ? 昼飯を一緒に食べたり、スマホで連絡することなのか?」
「ミカゲは付き合ったことないの?」
「……ない」
「勇者なのに?」
「勇者と恋人は別物だろう。それにキャラ設定にそういう設定がなかったのだ」
「一部ファンの間ではミカルマっていうカップリングが流行していたんだけどね」
「ミカルマ……だと?」
「ファンの間では、ミカゲとルマがお似合いで、カップルとしてイラストや小説を書く人が結構いるよ。実際のところどうなの? 僕もイチファンとして知りたいかな」
「ふざけるな! なぜ俺様が、あの女医とカップルにならないといけないのだ!! ありえん」
怒りをあらわにする勇者。
「二人の間に何か嫌なできごとでもあったの?」
「会えば嫌味しか言わないような女だぞ。俺様的にあのような言動が気に障るだけだ」
「なーんだ、それだけか」
「今もあの女のところに世話になっているのか?」
「うん。ミカゲは普段どこで寝泊まりしていたの?」
「旅をしているときは、木陰とか洞窟とか……一応、村に俺の家はあるが、誰も今は住んでいない。そこへ行け」
「えー、意外と地味だなぁ。もう少しルマ先生のところにいたいなぁ。宿賃ないから今、住み込みで働いているんだよね」
「あのメギツネのような女医の所でか? 今、貴様は俺様なんだぞ。住み込みの仕事だと? 俺様のプライドが許さん」
「でも、今はこの体は僕のものだから、好きにさせてほしいな」
「じゃあこっちも、るみかという女とは別れる」
「わかったよ。別れてもいいから、そのかわり、僕はここで住み込みの仕事をするから」
そう言うとミカゲはガチャリとテレビを切ってしまった。よほどルマ先生が気に入らないのだろうか?
るみかちゃんよりも僕は大ファンのルマ先生をとる。どうせ元の世界に戻ればもうこんな美しい女性には会えないのだから……。