勇者が高校生と入れ替わったら 4
♢俺様勇者の初彼女 俺様勇者視点
ぼっちだった俺様はここで話すことのできる相手ができた。新城だ。彼女は休み時間や昼休みになるといつも話しかけてくる。本当はこの女も友達がほしいのだろう。仕方がない、つきあってやるか。
俺様のゲームの話をしていたクラスの男子がいたのでゲームについて裏話的なものを話したら、そいつらも話しかけてくるようになった。俺様は勇者だからな。ゲームの世界ならばどんどん仲間が増えていくだろ? この世界も同じだ。自然と俺様の周りの色々な奴らが話しかけてくるようになった。テストの成績が良ければ、羨望のまなざしで同級生が見てくるようになった。当然だ、俺様は勇者だからな。
そんな毎日の中――
知らない女子に「好きです。つきあってください」と言われたが――
この体はあの男のものだから、返事は少し待ってもらうことにした。
あいつとは毎日頻繁に連絡を取っている。本人に聞いてみないとな。
「実は、今日付き合ってほしいと言われたのだが……」
「ええぇ?? 名前はなんていう女の子なの?」
「たしか、山浦るみか、だったかな……」
「その人結構かわいい感じじゃない? でも……なんで僕なんかに?」
「いや、中身は勇者の俺様だから人気があって当然だろ?」
「何か学校で目立つこととか、変なことしてないよね?」
「するわけないだろ?」
「返事はどうする?」
「オーケーしておいて」
「わかった」
これで初めての彼女ができた。まぁ、俺様の彼女じゃないけどな。
翌日――
「昨日の返事だけど……」
緊張した表情の、るみか。
「付き合っても構わねーよ」
自分のことではないが、少し照れてしまい、視線は斜め上だった。
彼女の笑顔がほころぶ。やたらうれしそうじゃないか。
「るみかって呼んでね。翔君」
いきなり下の名前か……積極的なメスだな。
昼休みになると、るみかが一緒に弁当を食べようとやってきた。
既に最初にできた友達の新城と俺様はランチタイムをしていた。
やってきたるみかは――
「新城さん、私と翔君付き合うことになったの。新城さんも一緒にランチする?」
なんとも嫌そうな顔をしながら話しかける。
一緒にランチする? という台詞は普通は最初からいた人物が言う台詞だ。
後から来た人物が言う台詞ではない。
美少女のおとなしい新城は気まずそうに
「ごめんね、私自分の席で食べるね」と言ってその場を去った。
このるみかという女は性根が腐っているのか?
それ以来るみかという女は、しょっちゅう俺様のところにやってくる。
正直、話の内容は面白いものではない。
どうでもいいような悪口ばかりで、勇者である俺様も疲れてきていた。
そのかわりあんなに俺に話しかけてきていた新城は、全く来なくなった。女と付き合うことというのは、本当に面倒である。一緒に帰ったり、スマホに連絡してきたり……どうでもいいのだが、この体の主が付き合いたいというのだからしょうがない。じきに戻れるだろうという根拠のない自信もあったしな。