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後輩ちゃんの恋愛講座  作者: 衣谷強


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14/14

先輩、勉強はまだまだ終わりませんよ

『後輩ちゃんの恋愛講座』第十四話となります。


二人の告白の行方は!?

と言いつつ、先輩がへたらなければ勝ち確定なんですけどね。


……大丈夫かな?


甘々っぷりは連載中一、二を争うレベルだと思いますので、ご注意の上お読みください。


それでは最終話『先輩、勉強はまだまだ終わりませんよ』お楽しみください。

 翌日。

 講義の後、メッセージで指定されたキャンパスの裏手で俺は赤須と向き合っていた。


「え、えっと赤須」

「……はい」


 周りに人がいないことをもう一度確認する。


「お、俺は、おま、お前のことが、す、す好きだ」

「……はぃ」


 うおお! 言えた! 言えたぞ! 噛んだけど!


「……」

「……」


 ……あれ? こ、この後何言えばいいんだ?

 告白ってどうやって終わらせるんだ!?


「えっと、あの……」

「……先輩……?」


 不安そうな顔で見上げてくる赤須!

 うわ、可愛い! 頭がめちゃくちゃになる!


「だから、その、俺と……」

「……」

「こ、これからも……!」

「……!」

「あ、遊んでくれ!」

「っ」


 うつむく赤須! しくじった! 何言ってんだ俺!

 遊ぶってそれじゃ今までと同じじゃないか!

 いやそれでもいいんたけど!

 でもお互い好きなら、やっぱり……!

 あああぁぁぁやり直したい!

 でも答えを聞くまでは待たないと!

 心臓が、心臓がちぎれる!


「……」


 赤須が無言で片手を丸にして突き出す。

 0点……!

 やっぱりか……。

 でも、でも! あきらめたくない!


「お、俺は赤須に救われた!」

「ぇ」

「あのクリスマスの夜、お前が声をかけてくれなかったら、麗に対する気持ちの整理がつかなくて、病んでたかもしれない! それを救ってくれたのはお前だ!」

「ぅ」

「それでも俺は女が怖い気持ちがずっとあった! でもお前が普通でいいって言ってくれたおかげで、お前と話すのだけは平気になった! そういう意味でも赤須は特別なんだ!」

「ゅ」

「だから頼む! もう一回チャンスをくれ! もっとお前への気持ちをちゃんと整理して伝えるから!」

「ちょ、ちょっと待ってください! 何の話ですか!?」


 目を丸くして固まっていた赤須が、突然わたわたと動き出した! 何だ急に!


「だからもう一回告白のチャンスをくれって……」

「な、何でもう一回やるんですか!? これ以上気持ちを伝えられたら私死ぬんですけど!」

「だって今の告白、0点なんだろ?」

「えっ」

「えっ」


 後輩は自分の出した手をまじまじと見つめる。


「……これ、オッケーです……」

「えっ?」


 おっ、けー?

 え、告白オッケーってことだったの!?


「……あああぁぁぁもおおおぉぉぉ! い、言ったら恥ずかしくなるから指でやったのに!」

「わ、悪い! テンパってた!」


 真っ赤な顔を押さえてしゃがみ込む赤須に、謝ることしかできない!


「ホントごめん! 俺、お前の気持ち、全然汲み取れなくて……!」

「……そんなの、無理ですよ」

「えっ……」


 あ、あきらめられてる? 見限られた……!?


「どんなに経験を積んでも、勘が良くても、相手の気持ちを全部汲み取るなんてできませんよ」

「そ、そうか……」

「だから私もちゃんと伝えます」

「え?」


 赤須は、立ち上がって真っ直ぐ俺を見た。


「……先輩のこと、だ、大、好きです」

「う、あ」

「……私を、先輩の彼女に、して、ください」

「お、おう」


 何だこれ何だこれ何だこれ!

 頭の中に心臓が生えた!

 ぐわんぐわんして倒れそう!


「……こういう時に無言で棒立ちは困るんですけど……」

「え、あ、悪い! よ、よろしく頼む!」

「よろしく頼むって……」


 溜息を吐く赤須。げ、減点か!?


「まぁいいです。そういう不器用なところも含めて、先輩のこと、……す、好きですから」

「あ、ありが、と?」


 世の中の恋人達って、みんなこれ乗り越えてるのか!? すげぇ!

 俺はまだまだこれから勉強してかないとなぁ。


「先輩?」

「あ、あぁ。じゃ、じゃあとりあえず、カフェでお茶でも飲むか」

「そうですね。喉からからです」


 でも赤須と一緒なら、そんなのも楽しそうだなと思えた。




 カフェでお茶を飲んだら大分落ち着いた。

 この後はどうしようかな。


「赤須、この後の予定は何かあるか?」

「今日はフリーです。先輩は?」

「俺もだ。どっか遊びに行くか?」

「はい」

「どこか行きたいとこあるか?」

「そうですね……。カラオケ、行きません?」

「いいな。決まりだ」


 カフェから出て駅へと向かう。

 隣にいるのが後輩じゃなくて彼女だと思うと、歩き慣れた道も何か違って見えるな。


「あ、あの……」

「どうした?」


 赤須が赤くなってもじもじしてる。トイレか?


「よ、呼び方を変えても、いい、ですか?」

「呼び方?」

「……先輩、じゃなくて、その、よ、善哉よしやさんって……」

「ぉぐ」


 うわ! 何か変な声出た!

 確かに恋人っぽいけど、めちゃめちゃ恥ずかしい!

 でも赤須も顔真っ赤にして、恥ずかしいの我慢してるんだろうから……。


「……い、いいけど……」

「……ありがとうございますセ、センパ……」


 首を横に振る赤須。


「よ、善哉さん……。これからよろしくお願いします」


 う、うわあああぁぁぁ! やばい! これはやばい!

 嬉しいけど恥ずかしくて、意味もなくじたばたしそうになる!


「わ、私だけじゃ不公平なので、よ……、先輩も私を下の名前で呼んでください!」

 

 えええぇぇぇ!?


「む、無理……」

「無理って何ですか! 覚えてないってオチで逃げられると思ったら……」

「お、覚えてはいるよ! あいだろ!?」

「ふぇ」


 赤須が目を丸くして立ち止まる。

 苗字の件があったから、覚えてないと思ってたんだろうな。


「サークルに入って来た時、可愛い名前だなって何か印象に残っていたから……」

「か、可愛い……?」

「で、でも名前呼びはやっぱり恥ずかしいから、勘弁してくれ! 頼む!」

「……もう一回」


 へ?


「もう一回だけ、呼んでください。そうしたら、もう、無理にとは言いませんから……」


 ……一回だけなら、今後ずっとじゃないなら、頑張って……。


「……ぁぃ……」

「き、聞こえないように言うのずるいですよ!」

「ちょ、ちょっと待て! 一回深呼吸させろ!」


 吸って、吐いて、吸って、吐いて……。よし。


「……あい

「……はい」


 ぐわあああぁぁぁ! 恥ずかしい!


「……あ、ありがとう、ございます……!」


 あぁ、夕方で良かった。

 そうじゃなかったら、遠目でも俺達の顔が真っ赤なのがバレバレになっただろうから。




 二葉亭四迷が『I love you』を『死んでもいいわ』って訳したの、こういう時のことなんだろうな……。

 嬉しくて、ドキドキして、最高!

 想像してたのより全然幸せで、溶けちゃいそう……!

 ……告白の時にハグとかキスとか覚悟してたから、そういうのがなかったのは少し残念だったけど。

 それは無理だとしても、手ぐらい繋いでくれたって……。

 でもそれが先輩だ。

 ゆっくりゆっくり仲を深めていこう。

 一緒にお互いのことを勉強していこう。

 顔を真っ赤にして歩く先輩に、手を伸ばす。

 夕陽に伸びた影の手に、私の手の影を重ねる。

 繋がった二人の影。

 今はこれで、ううん、これがいい。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。


四月咲 香月様がラストシーンに寄せてくださった後輩の絵が最高で、ラストの構成がより糖度を増しました!

挿絵(By みてみん)

沢山の絵を拙作に寄せてくださって、感謝してもしきれません!


他の話にも寄せて頂いたキャラ絵を追加させて頂いていますので、是非ご覧ください!


思えば、まず銘尾 友朗様の『冬の煌めき企画』で短編を投稿し、家紋 武範様の『私の彼はダサ坊や』で追加の短編を思い付き、皆様の感想や評価で告白練習編まで書き上げ、四月咲 香月様のキャラ絵と水渕成分様のイチオシレビューで連載化の勇気を頂き、ここまで書き上げることができました!


皆様の力で書き上げた、まさに元◯玉のような作品だなと感じております。

私は力を託されながらも狙いを外し、他の方のナイスアシストで命中させる事ができたク◯リンポジションで。


本当にありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[良い点] よかった! (*´ω`*)
[良い点] かわいい!かわいいです!! 先輩よくがんばった!! 幸せそうな後輩ちゃんが見られて感無量です! 丸の勘違いも最高です!! 先輩の「でも赤須と一緒なら〜」というモノローグの一文がとても好き…
[一言] 完結おめでとうございます! 色々と使っていただきありがとうございます。
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