第一話
序章
ある時代にオオサカとキョートーの間には、ある町が存在する。その町の名は「古原」(ふるわら)である。古原町では、妖や人型に化ける化け物が人間の社会に忍び込む生き物がいる。
人間たちとともに共存したい妖は少ない。非常に少ない。昔からずっとだいぶ妖が人間と離れて山の方に静かにに暮らして続きたい。しかし、いわゆる妖の聖地は少なくなり、人間と共に暮らす必要がある妖が増えている。
一方、それに反対する妖も少なくはない。この妖社会では、法律が成立され、人間と一緒に暮らすのが禁止された。しかし、二人の全く別の妖(種類や性格、年齢も)がどうしても一緒に人間社会に生きていきたいようになった。
<大田の話>
奥様の名前は雲母子で、俺の名前は大田だ。苗字がない。作ろうと思っているけど、まだ良い苗字思いつかない。俺たち人間ではないので、戸籍もない。戸籍がないといろいろ厄介なことになる。特に仕事。結婚もそう。10年間結婚は実際に登録されてないので、人間社会で既婚者として認められていない。人間として認めてられていない。まあ、人間じゃないので、仕方ない。俺と奥様が人間社会に忍び込んで、人間として生活できるかどうかはただいま実験中。私たちの自然故郷(山・森)には人間が勝手に侵略し、大自然に生息するのが困難になった。
「伊藤はどうかしから」奥様が昨日釣った残り生鮭の朝食中から質問された。
「地味じゃないか」と言い返す。
「人間って地味じゃないか」と言い返され。
「それはそやけど。そろそろ決めなきゃ」と提案。
彼女が「砂糖嫌い」となんの文脈のなくいきなり言い出し俺が「佐藤」と聞き間違い、お騒ぎになった。
口論が落ち着いたら、ちゃんとしたサラリーマンに変身して家を出て、駅に向かいた。
<雲母子の話>
なんで同居しているのか、あのバカ狸とたまに思う。夫は狸である。いろいろな形に変身できるが、私は狐と人間にしか変身できない。妖怪の世では、私のような狐が最上位であることがいいけど。でも高い変身能力の夫は可愛くてしょうがない。
夫は出勤したら私も出勤する。家を出ずに、2LDKのアパートの和室に置いてあるパソコンを開いて 昨日始まった翻訳案件の作業を続く。
<大田の話>
電車は混んでいるなあと思わず口に出した。周りの乗車者が目を合わせ、じっと見られる感じがした。この時、鳥になるがいいと思うけど、人混み中で変身することが許されていない。帰りに一度飛んでみると頭の中にメモった。はやぶさにしよう。
<雲母子の話>
8時間以上が経って、納期を間に合うため、翻訳を提出した。
そろそろ晩ご飯を作ろうと思い出す。昨夜捕まえたアヒルを焼くかと思う。生でもいいか?いや、人間のふりをしたら、ちゃんと人間らしく食べなきゃ、ためらってアヒルを焼き始めた。調味料を買い忘れた。彼には味がわからない。私もわからないけどね。ちょうど焼き終わったら、夫がオフィス系の仕事から帰ってきた。いつもと同じ疲れそうが顔がして、「ただいま」の挨拶をせずに、こたつの中にくつろいだ。全くあいつ・・・
<大田の話>
疲れた。今日ははやぶさに変身体力が残らず、人間らしいで電車に乗って帰宅した。
1日の工事仕事が大変だし、オフィス系の仕事をしていないことをバレないように一度汚れていない川に行って、体(狸)を洗ってから帰った。
「晩ご飯できたよ。さあ、味わって。」と雲母子様が命令した。そう、言い忘れた、俺の変身能力がいくらでも上、奥様(通称:雲母子様)はいくらでも体力・魔力がはるかに上だ。狐といえば、九尾の狐そのもの。彼女の見た目は細くて背の高い25歳ですが、本当の年齢は不詳だが、だいたい900歳以上と推測できる。髪の毛がお尻まで及ぼし、ダークブラウン。人間の姿をしても両眼がまるで狐のようだ。目付けが怖い。
俺もちっと見た目と違う年齢だ。見た目は35歳の地味っぽくサラリーマンだが、本当は57歳。まるで仔どもみたい年齢だが。
「うみちゃんに餌は?」と聞かれ、ああ、しまった。
さびねこの飼い猫が泣いている。餌をさっさと与えた。奥様はなんで猫を飼っているのかまだ不思議に思うけど、彼女の好みそうで、逆らうことができない。
奥様が少しだけ焼いたアヒルを噛んだと、なんか変な味がした。
「この味付けは何?」と尋ね、
「生の方が好きでしょ?」
「そりゃそうやけど、人間はこんな地味な食べ物食う?人間の味覚わからないといけないけど、これはちょっと・・・」
「そんな人らと混じりたいなら、自分でなんか作ってみな!」と叱られた。
恐怖を感じ、人型の姿が一瞬にとけ、小さくてぽっこり本の姿に変身して、布団が包んでいる収納にさっさと逃げ込んだ。数分経ってから柔らかくて気持ち布団の中から扉にノックを聞いた、
「もう出ていいよ。怒ってない。」
「ほんまに?」
「ほんまに」
「本当に??」
「本当に」
ゆっくりと中から扉を開いて、奥様も本の姿に変身して、お辞儀した。俺も頭を少し下げてから収納から降りた。「ちょっと出かけてくるね。落ち着くまで、お互い様・・・」彼女がいつもの美人の人型に変身し、簡単な赤いワンピースを着て出かけた。また狩猟しに行くかな。彼女どれだけ狩猟するのが好きだ。
うみちゃんがペットベッドから起きて、ストレッチし、俺に向いた。しばらく猫に変身していないことを思い出して、うみちゃんとそっくりな姿に変身してみた。うみちゃんが一瞬に反応した。ものすごく煩く唸った。体をアーチし、鋭い牙を警戒してくれた。俺の猫声があまりにも上手じゃないので、お互いに唸ろうとしたけど、うみちゃんは本物・本能のある猫なので、早速攻撃してしまった。俺は自分の人間姿に戻ろうとしたが、あまりにも怖く、変身ができなかった。猫の姿のままでうみちゃんの牙から走って逃げた。17階の部屋の窓を必死に開けようとしたけど、警戒中の猫が追ってきた。まさか、家庭ネコの肉球で死んでしまうのかよ。
つづく
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