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非日常的日常の異常  作者: 三武将
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早起きって実はそんなに得してない気がする。

関陽女子高等学校の朝は早い。

チア部がお決まりの掛け声をあげながら校庭を走る姿を、1年C組の学級委員長の巻葉糸葉は半目で眺めていた。

「糸葉、珍しく来てるじゃん」

学校という場に似合わないゴスロリファッションの美人が巻葉の頭を雑に撫でる。顔100点、体100点、性格2点の彼女は御図先生、頭に生えている2本の角がチャームポイントだ。

「あの、ほんとにやるんですか?マジでめんどくさいんですけど。」

「本来なら他のクラスの学級委員も来てたハズなんだけどねぇ」

御図先生はウインクして続ける。

「連絡すんの忘れてた!朝の地域清掃のこと」

世の中には顔採用が絶対にある。御図先生を見ていると本気でそう思うのだ。

「という訳で、関陽周りのあらゆるゴミを拾いに行きます!」

「帰って寝たい。」

午前6時45分、清掃開始。




えっちゃんです!毎朝6時に起きてます!というのも、我が家は両親不在の日が多いので、私にはお姉ちゃんの朝ごはんとお弁当を作るというお仕事があるのです!

「恵理、おはよう」

「お姉ちゃん!?まだ6時だよ!?」

「え、うん」

おかしい。お姉ちゃんは朝にめっぽう弱いはず。こんなに早起きしたことなんて今まで一度もなかったのに!

「お姉ちゃん、はい」

「なにこれ」

「体温計」

「……舐めてんの?」

怒られた!お姉ちゃんの具合が悪いのかもって心配からの行動なのに!

「別に私が早起きしたっていいじゃん」

「それはそうだけど、何かあったのかなって心配しちゃうよ」

「…たまには恵理と一緒に弁当でも作ろうかなって」

「お…お姉ちゃん!」

午前6時、姉妹の絆が深まった気がした朝です。




窓の外は既に明るい。譜話結の1日が始まった。

「だからね、ガツンと言ってやった訳よ!CDの光なんて怖くないって!」

喋り止まないカラスと共に。

「あの、カラスさん。もう日がでてきたみたいなんですけど。」

「あらほんと。仲間と朝の発声に行かなきゃ」

そう言うとカラスはカーカー鳴いてウインクしてみせた。早く帰って欲しいんですけど。

「それじゃあね結ちゃん!また来るわ」

バサバサと黒い翼をはためかせ、カラスは朝日に消えていった。彼女は昨晩突然我が家に押し入って来て、私に長々と自分語りをして、勝手に友情を深めた感じを出してきただけのただのカラスである。

「…さすがに今から寝ても起きるのがしんどいな。」

早起きは三文の徳、と言うがこれは寝てない場合も含めていいのだろうか。今の私は何も得した感じはしないからダメか。

「…ベランダにCD吊るしとこう。」

強いて言うならカラスとの友情を得た、午前5時過ぎだった。

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