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ブラッドツインズ〜薔薇の印に捧ぐセレナーデ〜  作者: キイロ 林檎
序曲✣始まりの狂想曲
8/11

♪ 07 夢への一歩

『ブラッドツインズ〜薔薇の印に捧ぐセレナーデ〜』を訪問頂きありがとうございます



長い背景説明にお付き合い頂いている方はありがとうございます

ヒロインの過去の話は前回で終わりと言いましたが今回も冒頭少しだけ過去の話になります

引き続きお付き合い頂ければ幸いで御座います


初めて会った日、ギルバート氏と不思議と息のあった狂想曲の連弾をしてからギルバート氏は私が邸にいる休日によく訪ねて来た。



それからというものギルバート氏が邸に訪ねて来た日には2人で狂想曲を演奏するようになった。











ギルバート氏との出会いから1年がたったある日父が死んだとの報せを受け私達は日本に帰る事になった。


リリーお婆さんは私に日本に帰っても続けられる様にピアノを買ってやろうと言ってくれた。


そんなリリーお婆さんに対し母は私にピアノを続けさせたい気持ちはあったもののお金の心配もあり続けさせる事に迷いがあった。


リリーお婆さんは母に追い打ちをかける様に日本の中高一貫の音楽学校の編入試験を受ける為の書類を提出したから日本に帰っても家にピアノが必要だと述べた。


リリーお婆さんは日本に帰っても私がピアノを続けられるようにと

日本で中高一貫の音楽学校を探して編入試験を受ける為の書類を提出してくれたらしく

母も日本に帰っても私がピアノを続ける事を了承するしか無かった。










日本に帰る際、リリーお婆さんは私にどんなピアノが欲しいか尋ねた。


邸の白いグランドピアノに憧れがあった私はリリーお婆さんと同じ白いグランドピアノが欲しいと答えたが母から家にはグランドピアノを置けるスペースが無いと言われた。





















「もし差し障りが無ければちょっとだけ…… 見せてくれない? 」







楽譜ノートを貰った経緯をひと通り話終えると彩香は楽譜ノートに興味を持ったのか恐る恐るといった風に尋ねた。






「気をつけて見てね 」





私は一言だけ添えると両手で楽譜ノートを彩香に手渡した。







「凄いなぁ…… 茉里は。こんな難しい曲を弾けるんだから」






彩香は楽譜ノートを受け取ると慎重に広げた蛇腹折の楽譜を眺めながら感嘆の溜め息を漏らした。





「実技試験はこの曲で挑むつもり」





音楽大学の実技試験で披露する曲は自由だ。


初対面の相手と一緒に演奏する事も出来たリリーお婆さんから受け継いだ狂想曲。


中学の編入試験でもパスしたこの曲なら音楽大学の実技試験でも臆する事なく演奏する事が出来るはず。


私は確かな決意を口にした。







「実技試験も今日の調子で演奏出来たら合格間違い無しだよ。頑張って!! 」






彩香のエールが嬉しくて頬が染まるのを感じた私は急いで白いアップライトピアノへと視線を逸らした。


グランドピアノを置くスペースが無い家にも置けるだろうとリリーお婆さんが憧れの純白のグランドピアノの代わりに買ってくれた白いアップライトピアノの蓋を静かに閉じた。


ピアノの蓋をそっと指の背で撫でながらピアノを始めて今まで資金面で援助してくれただけでなくトラウマを克服しようと親身になってくれたリリーお婆さんの事を思った。


リリーお婆さんの支援があったからこそ今の私がある。


今の私がリリーお婆さんに出来る恩返しは音楽大学に合格する事だろう。










今日は彩香と一緒に泊まりがけで受験勉強をする予定だったので日が沈みかけてからも2人で参考書とノートを机に広げて大学受験の勉強に取り組んだ。


途中で母がトレーにオレンジジュースとクッキーを乗せて部屋に来た。


私達は母が持ってきたクッキーを食べながら夜まで参考書と睨めっこを続けた。











夕飯にはカツカレーとサラダが食卓に並び

私も彩香も受験の成功の願いが込められたカレーをおかわりした。


明日は私の運命を左右する実技試験だ。























彩香とガールズトークを楽しんだ夜も明け、運命の時は目前に迫っていた。


黒地に赤い薔薇のワンピースを着て髪をハーフアップにした私は一呼吸してから自分を落ち着かせるとクローゼットに設置したカメラに向かって一礼する。


留学生枠は学校の推薦が主で実技試験自体はビデオ審査の為、実際に目の前に審査員がいる訳では無い。


だから大丈夫だと自分に言い聞かせるが緊張の所為かカメラのレンズが審査員の目に見えて来てしまう。


何とかレンズを意識しないように自分を奮い立たせて最初の一音を奏でて

カメラの事など忘れるぐらい狂想曲の世界を表現する事だけに集中する。


ギルバート氏との連弾をイメージしながらギルバート氏の情熱的な音色を追うように情熱を込めて演奏する。


あの日のギルバート氏との連弾を思い浮かべながら演奏する狂想曲は私に不思議と力をくれた。

序曲(7)を最後までお読み頂いた方はありがとうございます


長々続いた過去話に最初から最後までお付き合い頂いた方に御礼申し上げます


ヒロインの背景説明がだらだらと続いた序曲も今回で完結致しました



急にウィーンで祖母と暮らし始めたかと思いきやまた急に日本に帰った茉里ですがウィーンで生活を始める時も、日本に帰る時も、勿論必要な手続きは済ませていますのでご安心?ください


最初から最後までお付き合い頂いた方に感謝申し上げます

次回より茉里の大学生活が始まりいよいよ本格的に物語りが動き出しますので

良ければ引き続きお付き合い頂ければ幸いでございます

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