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ブラッドツインズ〜薔薇の印に捧ぐセレナーデ〜  作者: キイロ 林檎
序曲✣始まりの狂想曲
5/11

♪ 04 楽譜との出会い

『ブラッドツインズ〜薔薇の印に捧ぐセレナーデ〜』を訪問頂きありがとうございます





まだまだヒロインの過去の話が続きますがお付き合いいただければ幸いです

祖母の邸に来て1年が経ち、4歳になった。


ピアノに触れる事が無くなっていた私は他に興味の持てる物を見つける事が出来ないまま邸で日々を過ごしていた。


そんな私の様子を見た祖母は母に、音楽大学進学までのお金ならわしが出すからピアノ教室に通わせてやれないかと言った。


母は家出して来た身で甘える訳には行かないと最初は祖母の申し出を断っていたが……


何もする事が無く暇を持て余して邸のサンルームで庭を眺めながら過ごす事が多くなった私を見て、痺れを切らした母は遂には、ピアノ教室に通わすぐらいならと祖母の申し出を受け入れた。


そんな経緯など知らない私はピアノ教室に通える事になり再び音楽大学への夢を持ってもいいのだと思った。









ピアノ教室に通い始めて1年ぶりに触れる鍵盤の感覚を取り戻そうと1日の殆どをロビーのグランドピアノと向き合って過ごすようになった。


その甲斐あってか徐々に感覚を取り戻した私はピアノ教室に通う同年代の中でも上達が早く始めての発表会で、本番直前になって同年代の他の子達よりもレベルの高い曲を披露する事になった。



直前で難しい曲を披露する事になった始めての舞台で思っていたよりも大勢の観客を前にすると頭が真っ白になって鍵盤に触れる指が震えた。


私はあろう事か思うように演奏が出来ずに固まってしまったのだ。


始めての舞台で失態を起こした事がトラウマになったのか、次の年の発表会でもピアノを演奏出来なかった。


始めての発表会での失態以来、自信を持てずにいた私は発表会に出て人前でピアノを演奏する事を渋るようになった。







ピアノ教室に通い始めて5年が経っても人前でピアノを演奏する気力が起きる事は無かったが祖母の邸では毎日の様にピアノと向き合っていた。


人前(祖母と母の前では平気だった)で無ければ5年の月日が経つとより複雑な楽譜のレベルの高いクラシック曲を弾けるぐらいに成長した私は向上心はあった為、更に難しい曲に挑戦したくてうずうずしていた。


10歳の誕生日を迎え、祖母は難しい曲に挑戦したいと言う私にとある楽譜ノートをプレゼントした。


祖母からプレゼントされた楽譜ノートは新品の物では無かった。


黒い皮の表紙は色褪せて煤けておりとても11歳の誕生日プレゼントとして相応しい物とは思えなかったが、プレゼントしてくれた祖母の手前、口に出すことは出来ずにただありがとうとお礼の言葉だけ伝えた。







「新しい曲に挑戦してみたいと言っていたでしょう……?」






「姉の遺した曲を弾いてみないかい?」







祖母は私の頭を優しく撫でて微笑むとノートを開くように促した。


祖母の話を聞いて祖母の姉の遺品ならば年季が入っているのも当然かと納得しながら促されるままに慎重にノートを開いた。


楽譜ノートを開くと蛇腹折の黄ばんだ紙に手書きの楽譜が書かれていた。


楽譜は今まで見たどの楽譜よりも複雑で私の闘志に火をつけた。


早速、譜面板に楽譜ノートをセットして新しい曲を演奏してみる。


祖母の姉が書いたと言う曲は私の知っているどの曲よりも長く楽譜の難易度も高い為、習得するまで少々時間が掛かりそうだった。








序曲(4)を最後までお読みいただいた方はありがとうございます






まだしばらくヒロインの過去話(背景説明)が続くと思いますが引き続きお付き合い頂ければ幸いでございます





次回は双子のうちの1人が登場します


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