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ブラッドツインズ〜薔薇の印に捧ぐセレナーデ〜  作者: キイロ 林檎
序曲✣始まりの狂想曲
4/11

♪ 03 少女の夢

『ブラッドツインズ〜薔薇の印に捧ぐセレナーデ〜』を訪問頂きありがとうございます






前回に引き続きヒロインの過去の話が続きますがお付き合いいただければ幸いです

祖母に招き入れられた邸の玄関ホールは純白の家具に囲まれていて、その全てがピカピカに磨かれ邸の外観同様に白く輝いていた。


下を向けば一面白い大理石の床に覆われていて、上を向けば純白の豪華なシャンデリアがぶら下がり、周りには見渡す限り白い大理石の彫刻が並んでいる。


それでも1番私を驚かせたのは大理石の床でも彫刻でもなく祖母に案内されて入ったロビーにあった。


ロビーに入ると周りはやはりピカピカに磨かれた純白の豪華そうな家具が並んでいたが、ロビーの中央には周りの家具同様にピカピカに磨かれ一際白く輝く純白のグランドピアノが陣取っていた。







「触ってみるかね? 」





白く美しいグランドピアノを前にして目を輝かす私に、祖母は焦げ茶色の瞳を細めて優しい微笑みを浮かべた。





「…… いいの?? 」




こんな高級そうなピアノに触れてもいものなのかと一瞬迷いはしたものの好奇心には勝てず祖母の方を向いて恐る恐る聞いた。


祖母はピアノ用の椅子を引いて腰掛けると膝を叩いて微笑んだ。





「マリーやここにお座り」




祖母が自分の膝を叩いた理由が解らず首を傾げていると祖母がこっちにおいでと手招きした。


祖母に手招かれるまま膝に乗せてもらった私は、祖母の手に導かれるようにして純白のグランドピアノの鍵盤に触れる。


祖母の巧みな指使いに導かれてまるで自分がクラシックを演奏しているかの様な気分を味わって満足した所で祖母はお茶の用意をした。


祖母はブルベリーソースがかけられたレアチーズケーキと私には繊細な模様が彫られたグラスに入ったオレンジジュースを、母にはパステルカラーの高級そうなティーカップに入った紅茶を薦めながら家出の理由を母に聞いた。


私はクリームチーズの甘味とブルーベリーソースの酸味が絶妙にマッチしたレアチーズケーキに舌鼓を打ちながら2人の話に耳を傾けた。


母は祖母に促され、薦められた紅茶を啜りながら渋々家出の理由を話し始めて話の途中で家出した事を少し後悔したような様子を見せたものの私達はこのまま祖母の邸に留まる事になった。







祖母と一緒に暮らすようになり、ピアノを触れる事が日常になりつつあった私はすっかりピアノの虜になっていた。






「マリーはピアノが好きかね? 」






「マリーーピアノ大好き!! 」






一緒に暮らすようになった祖母に()()()と呼ばれるのを気に入り自分でも()()()と呼ぶようになった私は、元気な声でピアノが大好きだと答えた。



私の答えに祖母はこの日から私を膝に乗せてピアノを弾いた気にさせてくれるだけで終わるのでなく、実際にピアノを教えてくれた。







ピアノを教えてもらって祖母の手を借りなくても少しずつ自分でピアノを弾けるようになった。



この頃から私は祖母の巧みなクラッシクの演奏に憧れ、さらにウィーンの音楽大学を出ていたと知り、音楽大学の事はよく分からなかったが祖母と同じ様に音楽大学とやらに行きたいと思い始めた。






「マリーー ()()()()の音楽大学に行きたい!! 」




「ダメよ!! 」



「家出中なのにそんなお金あると思うの? 」






母にウィーンの音楽大学に行きたいと言うと母は苦い顔をして音楽大学にまで行くとお金が掛かるからと反対した。


母はお金持ちの家の娘の筈だ。


だから家出中でお金が無いと言う理由で反対されると思わなかった私はショックで口が半開きになった。









母に音楽大学に行く事を反対されて夢を失った様な気がした私はロビーの純白のグランドピアノに近づく事は無くなっていた。

序曲(3)を最後までお読みいただいた方はありがとうございます


次回もヒロインの過去の話になりますが引き続きお付き合いいただければ嬉しいです

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