表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気化魔法で世海征服  作者: 大沢雅紀
20/37

ムンディーン

東のスエズ砂漠に向けて出航して数日間、イシリス王国の巡回船がみえなくなった海域で、俺たちは後をついてくる複数の船に気づいた。

「船影確認。中型のガレー船みたい。」

見張りをしていたアリルから報告が入る。

「紋章を確認できるか?」

「だめ。何もつけてないみたい」

ということは海賊船か。厄介だな。

俺はそう思ってしまうが、メイたちは余裕だった。

「大丈夫だよ。私たちにはこれがあるもの。あーっ。早く発射したい」

メイは船首砲を撫でながら、うずうずした様子だった。

「ふふふ。海の上で私たちを襲おうなんて可愛い子たちには、お仕置きしなければなりませんね」

ウードさんも余裕たっぷりなしぐさで、杖を用意して船員に配っている。

そうか。そもそも周囲にいくらでも水がある海の上で、水の一族にかなうわけがなもんな。

そう思った俺は、ついてくる船を見つめながらニヤリと笑った。

「進路そのまま。速度を落として、奴らに追いつかれないギリギリの距離を保て」

俺の指示を聞いて、メイが不満そうな顔をする。

「えー?反転して海の藻屑にしようよ」

「そんなもったいないことしてどうするんだ?いいから」

俺はなんとかメイをなだめて、警戒態勢をとらせる。

「ドライ兄、どうするつもり?」

「あの船たちは高く売れそうだ。捕まえて売り飛ばそう」

見たところ、状態のいいガレー船みたいだ。五隻もあれば金貨5万枚にはなりそうだな。

「スエズ領まで連れて行くぞ。追いつかれないようにうまく誘導するんだ」

俺の命令を受けて、ウネビ号はゆっくりと東に向けて進んでいった。


ガレー船

「ムンディーン様。あれが噂の黒船です」

私は報告を受けて甲板に出てみる。まるで鯨のように黒い肌をした巨大な船が悠然と航行していた。

「ぐふふ。あんな小僧にはもったいない」

調べたところ、あの船は100年前に失われた伝説の無帆船だ。捕まえてイスタニア帝国に売り飛ばせば、金貨100万枚はくだらない価値がある。

それに加えて、美女ばかりといわれる幻の水の一族-ウンディーネたち。

奴らは現れるやいなや、どんな手をつかったのかイシリス王国の庇護を受けてしまったが、そんなのは私には関係ない。

この二つを手土産にもっていけば、私はイスタニア帝国で念願の貴族になれるだろう。

そう思った私は全財産をつぎ込んで船団を組織し、奴らを追いかけた。

そうしてあと少しで手が届く所まで来ているのだが、なぜか奴らにおいつけない。

「もっと船を早めろ!奴隷に鞭を当てろ」

私に命令で、船員たちは奴隷を痛めつけてオールをこぐ力を早めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ