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4話 王女は、小さな友人を得る

 わたくしに、お友達が増えました。イーブの妹です。


「シャルル王子、ジャンヌ王女。今日から、セーラも一緒に法の勉強するからね」

「セーラ、挨拶は? 来る前に兄上が教えただろう」


 あらあら、イーブは兄上の顔になっていますね。


「あいでちゅの。わたちあ、ちぇーりゃ・べーいともうちまちゅ。

ちゃーおーじちゃま、ちゃーおーちょちょま、よりょちくおーがいもーちあげまちゅあ」


 ……セーラの言葉は、わたくしには理解出来ませんでした。

 そっと兄上を見れば、同じことを思ったようで、わたくしを見ると片目を閉じて合図しております。


「はいですの。私は、セーラ・ベイリーと申しますの。

シャルル王子さま、ジャンヌ王女さま、宜しくお願い申し上げますわと言っている」

「イーブ、わかるのか?」

「シャルル。私は、兄なんだ。妹の言葉がわかって、同然だろう」

「なあ、ジャンヌ」

「はい、兄上」

「イーブ、ジャンヌも僕と同じだそうだ」


 イーブには、セーラの言葉がわかるらしいです。

 兄上が驚いたと言うので、わたしくしも、同意見だと返しました。

 わたしくしたちのやり取りを聞いたイーブが、眉を寄せています。


「……シャルル、私には、お前たちの会話の方が理解できないんだが」

「なんで理解できないんだ? 僕が驚いたと言ったら、ジャンヌも同じだと言った」

「だから、なんであんな短いやり取りだけで、理解できる? 私には、理解不能だ」


 イーブも、侍女たちと同じ反応をするのですね。


「父上も、同じ意見ですよね?」

「うーん、兄は妹の言葉を理解できるという点では、共通してるんだけどね。

イーブは年の離れた兄上で、シャルル王子は双子の兄上だからかな?」

「なるほど。本質は同じで、理解の仕方が違うだけだと言うことですね」

「そういう視点もあるんだな。さすがイーブの父上は、魔法医師だけある」


 ……兄上は、イーブとイーブの父上のやり取りを理解されたようです。わたしくしには、さっぱりなのですが。


 きっと、兄上が、わたくしの分の理解力も取ってしまったのです。


「あにゃー、あにゃー、おべーきよー、ちたいでちゅの」

「セーラ、勉強したいのか?」

「あいでちゅの♪」


 イーブの妹は、お勉強が好きなようです。

 わたくしは、あまり好きではありません。もう少し、お話ししてからでもよいですよ?


「じゃあ、イーブ、シャルル王子。セーラとジャンヌ王女のこと、よろしく頼んだよ。

きちんと最初から教えてあげてね。

二人が理解してるところまで追い付いたら、四人一緒に私が教えるからね」

「了解しました」


 ……イーブと兄上が、わたしくしとセーラを教える?

 兄上を見ると、片目を閉じてきました。


 わたくし、兄上の言いたいことを、それだけで理解しました。


 ジャンヌはできが悪いから、子猫と一緒に、最初から学び直せ。


 ひどいです。わたしくしは、そこまで、頭悪くないですよ!


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