小6じゃないだろこいつ
「私、長い人生でまさか男の人にあんな姿を見られてしまうなんて」
「どこで覚えたそんな言葉、ていうかまだお前12年しか生きてないだろ、そして何故泣き姿を見たくらいで俺はそんなに言われるんだ」
場所は駅のホーム、時間は朝早く、元より人気のなかったこの駅には俺とこいつの2人以外いない
こいつというのは、今目の前で泣き姿を見たことを俺に猛烈に抗議してくる女の子、小学6年生である
「もちろんあなた、責任取ってくれるのよね」
「責任?」
俺、天城 海斗は高校2年目の今日、まさか平和で安泰した毎日が終わるとはこの時は思ってもいなかった
「結婚してください!」
「嫌だ」
考察の余地もない、即答である
髪の毛を下に下ろし長さは肩の少ししたまであるかという少女、スタイルとかはまぁ小6だからいいも悪いもないだろう
というかそんな事はどうでもいいんだ、何故こうなった
時は5分前に遡る
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「ふぁーわ、武田のやつ、朝早くから何言うかと思ったら委員の仕事の手伝いかよ…めんどくせぇ」
俺はいつものように駅に向かっていた
それが青いとか雲一つないとかどうでもいい、ただいつも通りに歩いていた
駅につくとそこには赤いランドセルを背負って水色のワンピースを着た女の子が1人
(へぇ〜、電車乗ってまで遠くの小学校に行くなんてご苦労なこったなぁ)
と普通にスルーしようとした
「う、う…うぇええええん!!」
突如、スルーしようとしたその女の子は泣き始めたのである
うろたえる俺、当たり前だ、偶然いた女の子が泣いていたら慰める方法など知っているわけないだろう
そして少女は、ふと、こちらを見た
時は戻る
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「なんでよ!女の子の泣き顔を見られたらもうお嫁になんていけないわよ!」
「安心しろ、偉い人は女は30からだって言ってたぞ、よかったなー、その頃には泣き顔なんて誰も覚えてないサー」
「そういう問題じゃないのよ!私のあんな姿を見たんだもん、責任はきっちり取ってもらうわよ」
「あーはいはい電車がきたな、じゃあなー」
完全スルーで電車に乗る俺、その1個向こうのドアから女の子は乗り、そして
叫んだ
「私をあんなにしといて責任取らないなんて最低よ!」
電車に乗っている人間約20人
その視線が、一気に俺に向かった
(こんのくそがきー!!)
かくして高2と小6の奇妙な関係が始まる
「お前、名前は?」
「澄乃 希来桜だよ!あなた♪」
「しばくぞ、それで澄乃ちゃんはどうしたいのかな、俺に公衆の面前で逮捕間際の発言をして」
「希来桜って呼んで、だから言ってるじゃない、私と結婚しなさい」
「小学生のくせに偉そうだな」
「高校生のくせにロリコンなんですね」
頭にチョップを一撃、すっきりした
「いったーい!何するのよ〜」
「俺はロリコンじゃない、そしてお前も好きじゃない、いいな?」
「あんな事したのに?」
「してない!その言い方やめい!」
電車を途中で降り(主にあの発言のせい)俺と希来桜は今こうして他の駅の休憩所で今後を相談していた
「お兄さん私のこと好きだよね!知ってるよ」
「おう!なぜ根拠もなしに言えるのすごいなお前は死んでくれ!」
このふたりに進展はあるのか
続く