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なんだこれ、誕生
曇り空。ポツポツと。
ぼくは誕生した。むずかしいことはよくわからないけど、生まれた。だけどぼくは落ちている。まっ逆さまに、すごくはやく落ちている。まわりを見やればたくさんのぼく。笑ってるのも、泣いてるのもいる。けどほとんどがもうあきらめてる。
そうか。ぼくは、ぼくたちは・・・・。
ああ、もうすぐじめんだ、こわいからねむ・・ろ・・・
名も無いそれは、自然の摂理に従って死んだ。
はずだった。
・・・・んん、、ん?・・・ん!?
あれ?!、、、なん、なんでまだいるの?ぼく、、。
『それ』は、予感した結果との違いに戸惑っていた。そして、驚きは続く。
なんだこれ、、わけわかんないよ・・・。
はっ!ぼく以外にもいるかもしれない。生き残っちゃったやつが!さがしてみ、、、なにこれ、
足が生えた。アスファルトに屹立する雨粒。下を向かない現代人は、その異様な光景に気がつかない。
だめだ、みんなただの水だ、、
これからどうしよ・・・。
全長1センチほどの『それ』は、冷たく熱いコンクリートジャングルをあてもなく歩き始めた。




