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プロローグ

暇な仕事に転職したので、趣味の開拓に書いてみました。

歴史・オカルト系の知識が深くないので、色々ぼかして書いてます。

俄かですいません。

プロローグ


都は死臭に包まれていた。


霧雨が降る中、生者なのか死者なのかも判別のつかない影がうじゃうじゃ沸いてくる。



折角、魔が一番弱まる日の出の時刻を選んだのに、この雨のせいであまり効果は見込めない。


とことん運に見放されてる。



愛刀を右手に構え、左手で印を切る。


仏と神が合わさってしまってからコッチ、

やれ外道だ左道だと謗られ、同僚の前では中々使えなくなった術だ。



突然の命令。


都の貧民窟の穢れを兵を率いて独りで祓えとは、死ねと同義である。


都を立て直すには、体面なんぞ捨て鬼道も含めたあらゆる術を取るべし、

という提言を上げた翌日のことである。


自分の上役は、よっぽどあの提言が気に障ったのであろう。




先ほどの術が効果を表し、影の動きが覿面に鈍くなる。


後ろに控えた兵の頭に合図を送る。


腹底からの声を出し、兵が突撃していく。


こんな捨石の任務に巻き込んでしまった彼らを哀れに思うが、彼らの仕事は都を守り死ぬことである。


どうせ自分も彼らも今日ここで果てるのなら、せめて出来るだけの事をしよう。



一応はこの都の主に忠誠を誓った身なのだから。



明日以降の不調は考えず、立て続けに大規模な術を練る。


火が踊り、地が割れ、風が荒ぶる。


八百万の神々がそれぞれの力を現し、穢れを祓っていく。



しかし、すでに魔界に片足を踏み込みつつある都の闇は、所詮人の子独りの通力では祓いきれない。


影は次から次へと姿を現し、兵は徐々にその影に飲み込まれていく。


術の使い過ぎで朦朧となった意識には、もう戦況を判断する力など無く、身近に迫った影に斬り付けてやるのが精々であった。



恐らく、そのまま影に飲まれ、都の闇の一部になったのであろう。


そうして俺は死んだのだった。



ワックスの掛かった学校の廊下を全力で走ってすっ転んだとき、ふとそう思い出した。




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