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護る雪野と向日葵畑-02(typeT)


「誰か」は、会話も無くなった84分後に現れた。

向日葵が強く揺らいだ。風も吹いていなかったが不自然に揺れた。

それが敵襲来という合図なのだが、二人は気付きはしなかった。


「誰か」は男だった。名は安本。22歳だと、二人に自己紹介をした。

雪野が訳の分からぬまま自分も自己紹介をする前に、安本は二人の後ろ、二人より城に近いところに居た。

3秒前までは目の前に居たのに、2.5秒前には自分の後ろに居たという怪奇に気付き、真っ先に走り出したのは夜風だった。

雪野も"向日葵を護る"というバイト内容を思い出し、後を追った。


安本は余裕ぶって歩いていた。夜風は飛び上がり、その背中に強い蹴りを加えた。

だが、加えられなかった。夜風の蹴りは安本の背中をすり抜け、宙を舞った。

夜風が地面に衝突する頃に、雪野は夜風の周りの地面に注目していた。



そして、夜風が呻き声を上げたと同時に安本の小さい呻きも聴こえた。




雪野は理解していた。考えたわけでもなく、直感で理解していた。

安本の「能力」に。



夜風が倒れこんでる周りの地に生えていた草が、一箇所だけ上から何か押し付けられているように倒れていた。

その上に乗っている物は、安本。安本は今、夜風の目先に居るのに実際は夜風の背後に居た。


雪野は直感で気付いていた。安本の怪奇の正体は「距離感」だった。

「自分との距離感を操作する怪奇」、それが安本の能力だった。


つまり、雪野と夜風の目には安本は5m先に居るように見えるが、実際は1m先だった。

それに気付かず夜風は「見えている」安本に攻撃するが、実際にはそこに安本は居ないので当たらない。

その時安本が違う場所に居たのを雪野は見逃さなかった。

そして雪野は見えない「実際に居る安本」に勢い良くぶつかり、5m先に居る「目に見えるだけの安本」が倒れた。


夜風は未だに状況を上手く把握していなかった。

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