護る雪野と向日葵畑-01(typeT)
(typeT)=第三者がナレーション
(typeC)=主人公がナレーション
となっています。
星、拡大して何処かの国、拡大して何処かの都、拡大して向日葵が咲き誇る原、中央に白いドーム。
このドームは城、地下に階数を設けている。この向日葵は城壁、人を容易く寄せ付けぬ。
向日葵畑と緑の平原の中央の線、其処に若い男一人、若い女一人。
男は雪野、女は夜風。
雪野は伝う汗を手の甲で拭う、夜風は座り込み空を仰ぐ。
雪野は絵描きの息子、絵描きの妻は重い病で入院。
家は絵描きと雪野だけであった。
とても貧しかった。絵描きの絵は時代と共に売れなくなった。
雪野は毎日飯もろくに喰えず、ただ生きた。
絵描きの妻の入院から34週間、転機が来た。
「6/1~8/31、日給××」というバイトの広告が雪野の手に挟まれた。
その日給は絵描きが毎日休まず必死に力仕事をこなしたとしても溜め息が出るほど遠い金額だった。
6/1、指定場所の道端でひたすら待った。そして、現れた人物に「何か」をされた。
そして、ふと目覚めると緑の草原だった。
説明はある程度は隣に居た夜風から訊いた。夜風にも分からない事は多いらしかった。
とにかく分かった事は、
「バイト」とは、この向日葵を護ること。
あの白いドームは、この国の動力源であること。
自分達は「誰か」を「何か」を使ってこの向日葵に近づけさせてはいけないということ。
殆どが曖昧だった。何も分からないが、二人はとにかく向日葵の前で待っていた。いつか来るであろう「誰か」を。