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家を追い出された貴族の庶子、名探偵として姉の死の真相を爆乳ムチムチオネエさんメイドと追う!  作者: 和泉 弘幸


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不可思議なバラバラ死体 5 (解決編)



 「レフ・アネモンヌです。 いくつかの法律書籍の閲覧をしたいので、見繕ってくれませんか。」


 王都の大学図書館で受付の人に話をすると、すぐに条件にあった他国の法律書籍を探してきてくれた。

 この国、最大の大学図書館。

 修道院や王宮図書館にすらない本がある貴重な場所だ。

 知識階級の中でも、めちゃくちゃ賢い奴らの集まりで、エリート文官を養成する機関にある本は、ほとんどが個人所有のものを貸し出してくれているだけなので、閲覧するにも立場が必要になる。


 「そのエリート文官達より、ぶっちぎりで知識があって側妃様に重用されて、王子殿下の教師を任されてたレフちゃんはすごいって話ね!」


 「すまんが当然のように心を読んで会話をしないでくれ。 重用されたのは身内だからだし、殿下の教師というのも世話役と兼任だから大したことは無いさ」


 「恋する乙女は相手の心なんてお見通しなのよ♡」


 恋する乙女ってすげー!

 まともに会話する時間も惜しいので、そうそうに切り上げて、目次に目を通していく。


 この世界の法律は整備が進んでいないので、後から足した法律が、当然のように後に来るので探す時に不便だ。

 前の世界はだいたいどこの国も順番が決まっていたらしいので、特定の法律を探す時は羨ましく感じてしまう。


 「レフちゃんこれじゃないかしら?」


 「ちょっと見せてくれ。 ……おっ正解! カレウス助かったよ」


 カレウスがそう言ったのを見ると確かに俺が求めていたものだった。


 ……!?おいおいなんでこいつ、これが読めるんだ?

 これはその国の言葉で書かれた書物だ。

 異国の法律書を理解できるなんて、かなりの高等教育を受けていないと無理だぞ。

 俺がこの世界に生まれてからどれだけ勉強したと思ってるんだ。

 いくら要領がいい人間でも言語の読解が出来るようになるには、それなりの時間が必要だ。


 カレウスは家事も上手くて武芸も達者。

 その上に異国語も話せるのはハイスペックすぎる。


「なぁカレウス……」


「レフちゃん。 女には秘密があるものよ。 それが危ないものほど綺麗に咲き誇るのよ。 私に似合う赤い薔薇のようにね♡」


 いや、お前男だろ。 というツッコミは今さらしない。

 カレウスがそう言うならそれでいいのだ。


「それより私はレフちゃんの方が気になるわ。 アナタの実家を追い出さてからの立ち回りや語学の習得ペース、何より思想はこの国じゃ見ないものよ」


「need not to know。 知る必要のないことさ」


「えっなんて???」


 なるほど。 俺と同じ転生か前世の記憶持ちではなさそうだな。

 顔色一つ変えてないし、多分違うはず。

 記憶持ちだったら積もる話もあったが、ないならコイツは頼りになる友人のカレウスで、それ以上でもそれ以下でもない。


「気にしなくていいよ。 それじゃグナー嬢とブーツ卿に連絡を取って解決と行こう」


 




「グナー・デルン伯爵令嬢、ブーツ・グラド卿、お越しくださり、深く感謝致します。 今回の事件は解決まで時間の問題となりましたのでお呼びだて致しました」


「それは構わないが、私も聞く必要あるのかい?」


「えぇ。 今回の件について、こういう死体もあったと知っておけばどこかで使えるかも知れませんので」


 普通に嘘だ。多分今後、こんなレアパターンはこの国ではないと思う。

 単に関係者を集めて推理を披露したかったが、関係者が少なかったのと、ちょっとした話のために呼んだだけなんだ。


「事件が解決するなら助かるっす! 解決が遅いと市民にも不安が広がるっすからね!」


「それでは事件の話をしようか。 今回事件を解くための問題だったの被害者の身元ですね」


 何度か言ったが、この世界は魔物という目に見える危険があり、国家間も安定しておらず余裕がない。

 そして人との交流が少なく、顔見知りによる犯行がほとんどで、護身用にナイフなどを持っているから計画的にせずともその場で殺せてしまう。

 貴族みたいな謀殺を除くと、殺人事件のほとんどは顔見知りの犯行で、単純なものばかりなのだ。

 


「その通りっす! 被害者の身元も分からないので、捜査が難航してるっす! 早く教えて欲しいっす!」


「被害者には正に身元不明なんだ! あの死体には名前すら存在せず、そしてきっと誰も知らない」


「??? つまりどういうことっすか!?」


「俺たちは先入観に囚われて大きな間違いをしていた! 被害者の正体……それはデュラハンだ!!!」


「はい???? い、いやなんで?」


「あぁなるほど。 理解したが、それでも大きな謎は残るぞ。 何故死体を隠そうとした、いや、人に偽造したんだ? デュラハンは魔物だ。 当然殺しても何の犯罪でもない。 この理由も分かるか? 少年」


 グナー嬢は頭の回転が早いな。

 いや、死体に違和感を覚えていて、妙な感覚がずっとあったのかもしれないな。


「その辺も当然説明しますがまずはブーツ卿。 普通、誰も見てない場所で人を殺したら隠したいですよね?」


「そ、それは当然っす!」


「あれは間違いなく死体の隠蔽です。 しかも死体は人間だと思わせるように意図的に仕向けた偽造工作をしてます」

「まず何故死体の四肢を切断したか。 何もしなくても、首だけないと持ち去ったかのように思われますが、それだと首元を見られれば切断面がなくてバレてしまいます。 なら首があったように付け根の部分を切り取ればバレないかもしれません。 ですが本来存在しない部分を傷つけ重点的に燃やしてしまえば、ここになにかあったのかと考えます。 そうすれば不自然な骨格や違和感が出るかもしれません」

「そこで犯人はその違和感を塗りつぶすために四肢を切断して猟奇的なことをして目を逸らして、首を持ち去ったのかもしれないと油断させたのです!」


「な、何となく理解は出来たっす。 確かに首を切り取られた焼死体があり、首元が重点的に焼けていれば我々も怪しんで気づいたかもしれないっす」


 小さな違和感を消すために、他の目を引く要素で誤魔化してしまえばいい。

 トリックの基本だ。細かい所まで気になるのが僕の悪い癖と名探偵、名刑事は言っている。


「次に死体を燃やした理由。 これは首の付け根の違和感を消すために燃やす必要があったのと、鎧の下がどうなっているか分からない。 肌の色がビリジアンやモスグリーンかもしれない。 鎧ごと燃やしてしまえば中身はかなり損傷して身元の特定が難しくなる」

「つまり犯人は死体の切断して燃やすことで、身元の隠蔽をおこなったのです! デュラハンはそんなに生息数も多くないアンデッドだし、鎧を着て燃えている人型のものを見ると、普通は人間と考えてしまう。 これが私たちが犯した最大のミスだったんです」


「し、しかし証拠はあるんっすか!? あれが魔物だという証拠は!?」


「グラド卿。 それは違うな。 証拠は後で教会に清めてもらえば分かる。 ここで聞くのは何故そんな面倒なことをしたかだ。 殺人で捕まるリスクをおってでも隠すべきではないと私は思うぞ。 そう動機というやつは分かるかい? レフ少年」


 動機か。

 動機をムイビング・マシンと訳した天才がいた。

 その主人公を見習って俺は胸を張る。


「もちろんですよ。 その動機こそが今回の犯人に繋がる決定的な手がかりとなります!」


「け、決定的な手掛かりっすか!」


「犯人はプルテン王国出身の冒険者か、その周辺国出身か親に持つ冒険者です。 最近この国に入国した冒険者を探せば見つかるはずです」


「やや曖昧ですが何故プルテンだと? あそこは隣国のもう1個向こうの国だからあんまり縁がないからわかんないっす」


「あそこは騎士が独立して自治領となった経緯から、騎士を尊んでる国です。 そしてプルテンではデュラハン殺しは重罪なんですよ!」


「ほう? 何故デュラハンは殺したらいけないんだ? あれは危険な魔物と聞いてるが」


「グナー嬢の言う通り、危険な魔物ですが、一説には主を失った騎士が仇を討つために彷徨っていると言われています。 プルテンはそれを騎士の鏡として襲われぬ限りは手出しを許していません。 恐らく、プルテン王国だけの法律とは知らずにいたのでしょう。 襲われ殺してしまい、最悪の事態を想定した彼、あるいは彼女が人殺しの方が罪が軽いのを思い出し、人と偽造。 あわよくば逃げ切れたらいいと考えて犯行に及んだんだと思います」


 これが真相とは限らない。

 しかし現状で最も有力なのがこの推理だと俺は思っている。


「……す、すぐに教会に連絡を取って死体を清めてもらうっす! あとはギルドに連絡してプルテン王国周辺の冒険者も聞いてみるっす!」


 俺の推理を聞いたブーツは慌てて駆け出して行く。


「面白い話だったよ。 証拠は全くないただの推論だということに目を瞑ればね」


「外れていたら謝罪しますが、恐らくあっていますよ。 それに俺は騎士じゃありませんからね。 証拠は必要じゃありません。 捜査協力というなら道筋を立ててあげるだけで十分でしょ」


「それもそうだ。 君に言うまでもないが、これは相手が庶民だから許される。 貴族を相手にする時はぐうの音も出ない証拠を用意して警戒に警戒を重ねて、証拠を突きつけるようにな」


「えぇ分かっています。 今回はお越しいただきありがとうございました。 また何か研究に必要なものがあればこちらで手配させていただきますし、手が必要ならお呼びください」


「あぁそうさせてもらうよ。 人間に見せかける細工か。 そんなものもあるなら私もしっかり解剖しないといけないな。 今日は勉強になったよ」


 そう言ってグナー嬢も帰っていった。





「うふっ♡ やっぱり事件を自信満々の顔で解決するレフちゃんは良いわね♡」


「何がいいか分からんが、今日は特に仕事もないし、ゆっくりしよう。 すまんがお茶を頼む」


「は~い、ご主人様♡」





 その日の夜に2つの知らせが届いた。

 1つはブーツから死体はやはりデュラハンで、犯人もプルテン王国を拠点とする冒険者であったと連絡を受けた。

 デュラハン殺しは犯罪ではないが、森で火をつけて逃げたために危険な行為をしたとして、罰金刑に処したそうだ。


 2つ目は手触りのいい手紙に、ご丁寧に3つの花の印章つきの封蝋をしている、実家のアネモヌン家。

 面倒事じゃないといいなぁと思い、目を通す。

 内容は王都に滞在している父がたまには顔を出せと言ってきてるが、どう考えても面倒事だ。

 まあ断るなんで出来ないから行くしかないんだが。

絶対に政治的な話か、厄介な事件な持ち込みだ。

 俺は新しい事件の予感がすると気取りながら紅茶を口に運んだ。



 





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