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家を追い出された貴族の庶子、名探偵として姉の死の真相を爆乳ムチムチオネエさんメイドと追う!  作者: 和泉 弘幸


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不可思議なバラバラ死体 4



「ぐぇっ!?」


 突然腹部に強い衝撃を受けて目が覚めた。

 またか。と思いながら体を起こして目を下にやると、グレイペンギンのレリヴァが餌をくれ!と器用に皿を咥えてお腹の上にいた。


「餌の場所も教えてるし、一人でいる時はちゃんと食べてるんだから、わざわざ朝に起こさなくてもいいじゃないか」


 甘えているだけなので可愛いのだが、定期的に腹の上にダイブしてくるのはいい加減やめて欲しい。

 火山地帯に住んで、火竜と共存しているペンギンのくせに何故ダイブをするのだ。

 海に住むペンギンなら分かるが、お前らは火山地帯に活路を見出した種類なのだからそんな本能は捨てていいだろ。

 


 グレイペンギンと普通のペンギンと違いは、黒い毛の部分は灰色であり、通常の肉類の他に、魔力で燃えている火と魔力を含む砂を食べる以外は、普通のペンギンとさほど変わらない。

 羽毛とか脂肪や足も普通は変わるだろ?と思ったが、羽毛は灰を防ぐ耐熱性の高いフィルターとして、脂肪もまた熱を防ぐのと、餌が足りなくなった際の栄養、足は鳥類は足で熱管理をするらしく、水かきは灰に沈まないためらしい。

 そのため、一時期耐熱装備として乱獲されそうになったが火竜が出てきて大変なことになったらしい。

 

 余談だが火竜もペンギンがいることで、巣を荒らすネズミや死肉を処理してくれるのと、恐らく観賞用として放置してるのもあるらしい。

 前世でもワニが鳥を食べすに観察したり、食べ残しの掃除をしていたとテレビで見たので似たようなものだろう。

 この世界の生物学も結構楽しいので、父にお願いして、本を見つけたら確保しておいてくれと頼んである。


 色々考えてたらレリヴァが、はよ餌渡さんかい!と突っつくので魔石を魔法で燃やして、横に麦を置いてあげると突っつき始めた。

 魔力を主なエネルギー源としているために、雑食になってくれているのはかなり助かる。

 食べないし、想像でしかないのだが、多分だけど魔力と穀物で育てたレリヴァは結構美味しいんじゃないかなと思う。


 


「グェッ! グェェ! ペーン!」


 餌をやると可愛らしくお礼を言って、てとてと と効果音がしそうな歩き方で木の箱で作った巣に戻る。

 最近構えてなかったし、事件のことを考えながらになるけど、後で毛ずくろいでもしてやろうか。

 モフモフの毛の方がレリヴァも嬉しいだろう。

 そうこうしているとカレウスがうちに出勤してきた。



 


「カレウスは事件のあった日、あの場所で何か見たりしなかったか? 些細なことでもいいから教えて欲しい」


「あらやだ♡ アタシのことを知りたいのね〜♡ でもダ・メ・よ♡ ちゃんとカレンって呼んで♡」


「グァーーグェッ!! グァァ!!! ペッ!!!!!」


 カレウスに事件の日のことを聞こうとしたら、突然レリヴァが荒ぶり出した。


「レリヴァ落ち着け! 謎の威嚇をするな!」

 

 突然、両手?翼を上げて、短い足を片方だけ上げて威嚇をしている。

 ペンギンの骨格でそれをして大丈夫なのだろうか?

 どこかで見たことあるポーズだが、アジア圏の拳法や演舞で見かけるポーズに似ているからだろう。

 荒ぶるペンギンのポーズ!などでは決してないと思う。

 結構鋭い嘴と、獲物を逃がさないようにトゲトゲになっている口内が普通に怖いなと思いながらも、レリヴァを膝の上に乗っけて撫でると「ペーペッペッぺッー!」と鳴いて落ち着きを取り戻した。



「きぃーー! 鳥類のくせに私に喧嘩を売ろうっての! だいたいペンギンがペーンなんて鳴くわけないでしょ! アンタ絶対魔物でしょ!」


「すまんが話が進まないから事件のあった日のことを教えてくれ……」


 ギャーギャーと騒ぐ、カレウスを窘めながらレリヴァをブラッシングしてやる。

 普通に重いのだが暖かくて気持ちいい。

 ペンギンは生臭いと聞くが、レリヴァはそもそも山鳥だし、餌も魚類を与えていないので臭くない。素晴らしい。


「あの日の事ね。 あの日は夜に人と会って、その帰りだったわ」

「何か魔法を使った気配があったから、賊か魔物でも出たのかしら? って様子見に言ったらびっくりよ! もうホントにびっくりしたのよ!」

「なんと! 何かが燃えてるのよ! しかも周りに人がいないじゃない!? こんなの山火事にでもなったら大変なことになっちゃうわ!」

「だから消火するためにも大声で騒いで人を呼んだのよ! そしたら幸いにも巡回中だった騎士様がすぐに来てくれてたのよ!」

「そしたらアタシが怪しいから話を聞かせて欲しいって! まったく! 失礼ちゃうわね! このアタシを口説きたいならもっと情熱的に! けれどもスマートに! そしてロマンチックにしなさいよ! もう!!!」

 

「そ、そうか……。 大変だったんだな。 話を聞く感じだとすぐに向かったんだな? 逃げた人はいなかったのか?」


「それが分からないのよね。 多分燃やしてすぐ逃げたんじゃないかしら? それならアタシが着く前に現場を離れて、見つからないと思うわ」


「そうか。 君がそう言うならそうなのだろう」


 このカレウスの腕は超一流だ。

 父の紹介で雇ったのだが、武芸に関しては俺より強いので、護衛として極力そばにいてもらってる。

 メイド服じゃなければ非常に助かるが、残念ながらメイドを自称して好き好んで着ている服を、変更させる権限は俺にはない。

 いやまあ、俺は雇い主ではあるから言えるのだが、男性の格好をさせると本人が嫌がるかもしれないのでさせていない。

 家事も出来て、しかも強い人材に不満を持たれて辞められるのは勿体ないからな。


 

「とりあえず事件をまとめた手帳を見直してみるか」


「アタシも何か気になることがないか一緒に考えるわ。 2人の共同作業ね♡ うふん♡」


 何かおぞましいことが聞こえた気がするが、事件解決のために集中している俺には聞こえない。 何も聞こえない。

 南朝系、、、違う! 俺は大楠公様とも中先代様も関係ない。

 貴族たるもの時には難聴系として、聞こえないふりして振る舞う面の皮の厚さも大事なのだ。

 

 この事件については、まだピンともティンとも来てないが、もしかしたら事件を見直してみると違うものが見て来るかもしれない。

 俺は記憶力に自信があるわけじゃないから、何度も見直しておかないと大事なことを忘れているかもしれない。


 膝に抱えているレリヴァがオウムのように言葉を覚えたら、大事なことを覚えさせて、何か忘れてることはない?と聞いて遊ぶのだがな。


「ふーん何か全体的にちぐはぐだよな」


「そうねぇ、、、 普通隠したいならバラバラにしたら燃やすなんて目立つ真似はしないし、燃やすならわざわざ切断する必要はないし、不安なら首だけ持ち去って燃やせばいいから、手足を切断する理由がないわ」


「んーもしかして切断とか燃やしたのは別々の要因があったか、燃やすつもりはなかったとか?」


「聞いた話だと意図的に、切断面を燃やしたとか言われてるわね。 拷問でもかけて殺したのかしら?」


「拷問で四肢を切断って相当だぞ。 それに拷問するなら室内に連れて行った方がいいだろ。 うーん分からん。 レリヴァ何か分かったら教えてくれ」


「グェッ!!グェェェ!グェグェッ!!!」


「おぉっ!? どうしたレリヴァ?」


 膝の上でブラッシングしていたレリヴァが突然騒ぎ出す。

 そして俺の手帳を咥えて、上に投げるとひっくり返って落ちてきた。


「グェェッ!グェッ!」


 上手くいって嬉しいのか羽で、拍手するようにペチペチする。


「もう1回見せてくれ。 うわっ!?」

 

 もう1回やらせようと手帳を手に取ろうとしたら、手をつつかれた。


「何か意味があるのか?」


「グェッ」


 あるのか。

 もしかして三〇猫ホームズのパターンか!

 昨今、様々異世界転生は色んなパターンがあるが、俺はペットが強いパターンか!


 ……これどういう意味だ?


「裏返し? リバース? 裏側? 逆さま? ……逆転?」

「そうか!発想を逆転させるんだ!」


 まさかこのフレーズを人生で使うことになるとは思わなかった。

 まだ何を逆転させるかも分からないがやってみよう!

 裁判中じゃないんだから話しながら考える必要もないし、ゆっくりいけるな。


「発想の逆転っていうけど何を逆転させるのよ?」


「まだ分からないけど1つ1つ考えていこう。不審な点をまとめて視覚化して考えよう」

 


 首と四肢がない胴体だけの焼かれた死体が発見された。


 死体は鎧を着用しているが、焼かれた際の熱でくっついており、脱がせることは出来ない。


 死体は四肢を切断してから焼かれたと思われる。


 燃やす際には魔法が使われている。

 

 事件そのものの目撃者は深夜のためなし。

 通報者は死体が燃えているところしか見ていない。

 付近を捜索して、手足が発見されるも首は見つからないことから、持ち去られたと思われる。


 司祭曰く、儀式などに使われたとするのは考えにくいとのこと。

 彼が言うには暗殺された可能性も十分あるという。

 理想のホムンクルスのために首だけ持ち去った可能性もある

 エルフの中でもさらに少数民族の儀式で似たようなものがあるらしい。(この儀式の裏取りはしておらず、誇張や偽伝の可能性もある)



 

「まとめるとこんな感じか」


 ここは異世界だ。常識に囚われてはいけない。

 奇跡も魔法もある世界だ。

 全てを疑い、考えていないといけない。


 俺はそう気持ちを引き締めて、1つ1つと向かい合う。



「あれ? もしかしたら俺はとんでもない思い違いをしていたのかもしれない!」


 どうやら俺は前世の常識に囚われすぎていたのかもしれない。

 まだ証拠も根拠もない。

 しかし全ての辻褄は会う。

 被害者は分かった。

 あとは目星さえつけたら騎士団に丸投げしたら人海戦術で見つかるはずだ!


 主人公っぽい台詞も言えて、探偵として楽しくなってくる。

 

「カレウス。 まだ何の証拠もないが俺の推理を聞いておいてくれ」


 だが、念の為にカレウスに事件のこと話しておく。

 毎回しているのだが、俺とカレウスなら有事の際に生き残るのはカレウスの方が生き残る可能性が高いからだ。

 常識的に考えて人を殺したやつを、素人が探るのは危険すぎる。

 追い詰められて、やぶれかぶれになった犯人に殺されるかもしれないし。


 だから俺は推理が途中でも普通に報連相として伝える。

 ドラマや漫画などのフィクションでよくある、真相を伝える前に死ぬことはしたくない。



「なるほどね。 それなら確かに説明はつくわね。 じゃあ早速お外に行きましょ!」 


 俺は不満げに鳴いているレリヴァの頭を撫でてから、頼れる相棒と共に外に出た。

 さぁ事件解決はもうすぐだ。



 






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